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小学生時代、男子の一番の罪といえば、トイレで大便をする行為だ。
ひとたび個室トイレに入っているところを見つけられたら、
馬鹿にされ槍玉に挙げられる。
当時小学生だった大輔さんのクラスでも、男子特有の悪ふざけが横行していた。
ある日の昼休み。同じクラスの男子が見当たらない。
悪ガキだった大輔さんはピンときた。ケラケラと笑いながらトイレへ向かう。
すると案の定、奥の個室トイレに鍵がかかっていた。
大輔さん達はゲスな笑い声を上げ、呼びかける。
「おい!何してるんだ!出てこいよ」わざとらしくドアを軽く蹴る。
「やめろよ!やめてくれ!」そんな返事が来た。
(やっぱりあいつだ)予想が合致し、俄然盛り上がってきた。
中からは、悲壮感漂う声が漏れる。しかし、その盛り上がりもすぐに立ち消える。
ドアの上部の大きな空間から、足が伸びてきたのだ。
すね毛混じりの裸足の大人の両足が、まるで逆立ちのように立つ。
そしてもがき苦しむ様に足をバタつかせた。
中にはクラスメイトしかいないはずだ。大輔さん含め皆、驚き叫んだ。
悲鳴と同時に足はゆっくりと下がっていく。
用を足し終えたクラスメイトが、何事かとトイレから出てきた。
中はもぬけの殻だ。
その出来事があってから、個室トイレに入る者を茶化すことは大輔さん含め、誰一人いなくなったそうだ。

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