龍樹さんの父は仕事柄、海外出張が多い。
父が土産として買ってくる、海外製の玩具やお菓子、これらを龍樹さんは楽しみで仕方なかった。彼が6歳の頃、父がアメリカ出張で戦車のアンティーク玩具を土産として買ってきてくれた。
木製の古びた戦車。けれど長い主砲が子供ながら、とてもかっこよく感じる。
同居している祖父に他の玩具を持たせ、戦車と対決して戯れる。
戦車の主砲を祖父の胸元に向け「ドカン!」と大きく叫んだ。
すると祖父は急に胸を抑え、苦しみながらバタリと倒れた。
龍樹さんはそれが冗談だと思い、そのまま無邪気に遊ぶ。
後から来た父が気づいた時には、既に祖父は亡くなっていたそうだ。
祖父の葬式を終え、しばらくして父が庭で小さな焚き火をしていた。
おもむろに木製の戦車を投げ入れる。
小さな焚き火は、燃料を投下したように勢いよく燃え、
龍樹さんの背を越えるほどの火柱を立てたそうだ。
サポートして頂けたら、今後の創作活動の励みになります!