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私の映画鑑賞録2023(ネタバレ感想文)

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年間84本鑑賞(新作34本 旧作50本)。内再鑑賞26本、劇場鑑賞71本。新作ベストは邦画『春画先生』、洋画『バービー』。
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2023年10月の記事一覧

映画『キリエのうた』 異邦人とさよなら。天使のダミ声再降臨(ネタバレ感想文 )

最初にお断りしておきますが、私は岩井俊二ファンではなく、「同じ市川崑ファン」の同志だと思っています。勝手にね。 岩井俊二が撮ったドキュメンタリー映画『市川崑物語』(2006年)では、彼の熱い想いと私の想いがリンクして、映画館で涙を流したもんです。 なので、岩井俊二の「逆光」も「ジャンプカット」も「ピンボケカット」も市川崑の影響なのです。 そんな前置きはさておき、この『キリエのうた』、いい映画なのですが、先に苦言を呈します。 私は、岩井俊二を「アイディアとテクニックの人」と

映画『春画先生』 変態純愛映画。ジャスミンに女優賞を!(ネタバレ感想文 )

この映画の主人公は、昨日何を食べたかどうかの内野君ではなく、北香那です。 我が家では彼女を「ジャスミン」と呼んでいるので、以下、「ジャスミン」と書きますけどね。 以前も書いていますが、塩田明彦のカット割りは非の打ち所がありません。もう惚れ惚れする。 例えば、ジャスミンが初めて春画先生宅を訪れるシーン。 門の前で迷う様が、教科書のようなカット割りで描かれます。 その一方で、発狂するほど思い詰めたジャスミンが全力疾走するシーンはワンカット長回しをする。だってその方が面白いから

映画『白鍵と黒鍵の間に』 何がノレない理由だったんだろう?(ネタバレ感想文 )

わりと楽しみにしてたんですよねえ。 冨永昌敬作品は、『パンドラの匣』(2009年)と『乱暴と待機』(10年)が好きでした。ま、私が太宰治好き、本谷有希子好きってこともありますけどね。 でも、その後ご縁がなかったというか、いやまあ正直言って、遡って観た『パビリオン山椒魚』(06年)が、私にはイマイチというか、ちょっとあんまりというか、ハッキリ言えば全然合わず、さらにオムニバス映画『BUNGO ~ささやかな欲望』(12年)の一編が決定的にダメで(ただ、石原さとみは可愛かった)、

映画『almost people』 ほのぼの系と思いきや石井岳龍大暴れw(ネタバレ感想文 )

最初に情報を。 4話オムニバスの映画です。 4人兄妹それぞれを主人公にした、喜怒哀楽(エピソード順は喜怒楽哀)が欠けた4人の物語です。 第1話「長男のはなし:"Voice Recorder"」 監督:横浜聡子 脚本:いながききよたか 第2話「長女のはなし:"Humanoid"」 監督:石井岳龍 脚本:いながききよたか 第3話「次男のはなし:​"Still Ok"」 監督・脚本:加藤拓人 第4話「次女のはなし:"Honeymoon Baby"」 監督・脚本:守屋文雄

映画『容疑者Xの献身』 お前、数学あきらめて魚屋になってたろ?(ネタバレ感想文 )

原作未読。ドラマ『ガリレオ』も最初の1,2話くらいしか見ていません。 『容疑者Xの献身』は、ちょっと見たい事情があって、ケーブルテレビでの放送を夫婦で観始めたんですが、ウチのヨメが「アレ?」って言い始めたんです。ピンと来ましたよ。 以下、夫婦の会話。 俺「分かった!あれと間違えたんだろう?えーっと、何だっけ、『初心者』じゃなくて…」 ヨメ「うん、そう、当たり。勘違いしてた。『新参者』だけどね」 こんな原作未読ドラマ未見、阿部寛と福山雅治の区別もついていない、福山雅治と