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日本の人びとに、急速に発展する 中国の真実の姿を見てもらいたい

『人民日報海外版日本月刊』 文/編集長 蔣豊

2022年は、中日両国にとって特別な年である。50年前、両国の多方面の努力によって中日国交正常化が実現し、半世紀の間、紆余曲折を経ながら中日関係は安定的に発展を遂げてきた。日本で奮闘する華僑団体は、間違いなく中日関係の発展に大きな役割を果たしてきた。本年の大型シリーズ企画として、「在日華僑団体トップが語る中日国交正常化50周年」をお届けする。

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旧暦正月の大晦日が三日後に迫った1月28日、東京は春の足音が感じられるような陽気であった。そんな静かな午後、中国留日同学総会の汪先恩会長が本社編集部を訪れ、「中日国交正常化50周年」に触れ、中日の互恵関係と平和的発展は何にもまして重要な「大事」であると語った。

忘れられない日本人の親切

浮き沈みを繰り返しながらの、あっという間の50年であった。1915年に設立された中国留日同学総会は、日本で最も長い歴史をもつ華僑団体といってよいだろう。李大釗、沈定一等、崇高な志をもつ者たちによって、中国留日同学総会は設立された。インタビューの冒頭、汪先恩会長は「総会設立の目的は明確でした。それは、民族・国家の滅亡を救い、存続を図ることです」と、中国留日同学総会の歴史をしみじみと回顧した。

「長い歴史を有し、設立当初から責任を担ってきた華僑団体は、中日交流の重要な拠点となり、新中国建国以降、後世の人びとが想像もできないほどの働きをするとともに、新中国建設のための多くの人材を送り出してきました」。

汪先恩会長は、中日国交正常化以降、中国留日同学総会が行ってきた多彩な交流活動を紹介してくれた。

「当時、改革開放の初期段階にあった中国は、日本から先進技術や経営管理の経験を学ぶことを熱望していました。そこで、中国留日同学総会は橋渡しの役割を担い、様々な交流活動を行ってきました。農村建設から都市計画、社会福祉から環境保護、企業管理から教育改革に至るまで、交流活動のプロセスに関する提案や意見をとりまとめて記録し中国に送ったところ、中国政府上層部から高く評価され、国の要となる多くの部門で積極的な役割を果たしてきました」。

「当然のことながら、在日華僑団体の発展の陰には、現地の日本の人びとの心遣いや支援がありました」。汪先恩会長はしみじみと振り返った。彼自身、留学生として金沢で学んでいた頃、自分の世話をしてくれた老婦人は、彼の食事を気遣ってくれ、別れの際には、まるで母親のように、熱々のゆで卵などの食べ物を包んで旅行かばんに詰めてくれた。「それらのご恩は一生忘れることはありません」。

さらに、汪会長が東京で学んでいた頃、財布を無くしてしまったことがあった。すると、指導教授や職員がすぐさまカンパを募り、最終的には無くした以上の金額になったという。その時の指導教授の「世界中で漢字を使っているのは日本と中国だけですから、仲良くしないわけにはいきません」との言葉は今でも忘れられないという。

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鳩山由紀夫元首相、韓志強公使、白剛公使参事官、後藤田正純衆議院議員、白西紳一郎日中協会理事長、村岡久平日中友好協会理事長、武田勝年日中友好会館理事長、韓慶愈中国留日同学総会元会長らが総会のシンポジウムに出席(役職は2013年当時)

中日関係は摩擦を繰り返しながら安定的に発展

近年の中日関係に話が及ぶと、汪先恩会長は冷静に指摘した。「現在の中日関係が思わしくないことは否定できません。その大きな要因のひとつとして、中日国交正常化を実現し、中日友好を成し遂げた先代の日本の政治家たちと比べて、今の世代の政治家たちには先見性と歴史観が欠けていて、多くの場合、アメリカや西側諸国の色眼鏡で今日の中国を見ていることが挙げられます」。

それでも、汪先恩会長は中日関係を楽観視している。現在の中日間には複雑な問題が多く存在するが、総体的に見て両国関係は安定しており、その大きな特徴としていえるのは「摩擦はあっても決して対立はしない」ことだという。

さらに、中日間に摩擦が生じる原因のひとつに、日本が今日の中国を断片的にしか理解していないことがあるという。「中国は改革開放の黎明期から日本に学んできましたが、今日、発展を遂げた中国は、日本を凌駕する分野もあり、両国は互いに学び合う新たな段階に入っています。相互学習と互恵によって、中日両国は友好と平和共存の道を見出すことができるはずです」。

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海江田万里元民主党代表、白剛公使参事官、許睢寧欧米同学会秘書長等が総会の設立百周年記念式典に出席(役職は2015年当時)

謙虚な姿勢で交流を促進

低迷する中日関係に対峙して、汪先恩会長は、在日華僑団体は日本の民間と緊密なコミュニケーションがとれるという強みを活かし、日本人の中国に対する誤解を解くべきだという。

「中国はかつてないほど強大になっています。強大になるほどに、謙虚さや慎ましさを忘れることなく、日本の民間との交流と対話を積極的に展開していくべきです。そうすることで、真実の中国を日本の人びとに伝え、様々な角度から中国を理解してもらえるようになると思うのです」。

「中日国交正常化50周年を節目として、中日の交流は次の50年に突入しました。次の50年も、中国留日同学総会は、日本の各方面との交流をさらに推し進め、中国に対する誤解を解き、共に前進していきたいと願っています。そして、華僑団体として、これからも両国国民の往来の促進に力を注ぎたいと思います。特に日本の友人たちには、急速に発展する友好国中国の姿を直接感じて欲しいと願っています」。

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陳竺全人代副委員長、程永華大使、福田康夫元首相,江田五月元参議院議長、曹衛洲人民代表大会外事委員会副主任、胡志平公使参事官等が総会のシンポジウムに出席(役職は2018年当時)

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