宅配業者さんの憂い
この仕事で、ご入居者からのお問合せやご依頼で一番多いのは、宅配物に関してです。
大手の配送業者さんが毎日代わる代わる配達にみえますが、ここ数年で、配達件数が増えていると実感しています。これまでも、お中元やお歳暮の時期となると、一回の配達で、10軒を超えることがザラでしたが、最近では、普段でも平均12~3件あり、時間指定などがあるため、一日を通して、それ以外の時間も数件づつ、何度も業者さんが出入りされます。
女性の社会進出が進んできましたし、会社勤めの方の拘束時間も長いとなると、宅配は便利ですよね。インターネットが普及して、全国のこだわりのお取り寄せといったものから、日用品まで、もはやありとあらゆる物を、通販に頼るようになってきています。
今回は、その宅配の現場の担い手、配送スタッフさんのお話です。大手の宅配業者さんは、先程書いた通り、回る軒数も頻度も多いので、まとめて配達先の部屋番号をお伺いして、フロントから在宅確認をします。だいたいいつも同じスタッフさんなので、こちらも顔見知りで、携帯電話で連絡を取り合うことも、よくあります。
担当エリアによるようですが、この地域は環境的に厳しく、また、売上もかなり苦戦していると聞きました。お互い余裕がある時に、雑談を通して、彼らの、吐き出さずにはいられない苦労が、耳に入ります。
荷物を運ぶのに必須の配送トラックですが、住宅地など場所によっては、荷物積込み時の台車の音がうるさいと嫌がられ、まず拠点となる場所が、押さえられないそうです。
仕方ないので、遥か離れた拠点から荷物を積んだトラックを一日三往復ほどさせ、各回数時間コインパーキングに停め、そこからカートで、ちりぢりに配達するんだそうです。休憩場所もないので、帰りがけに前を通ると、トラックの荷台の上で間食を取っている姿が目に入り、痛々しく思います。
住宅地なので、不在の場合も多く、企業が多い地域のように、まとめて受け取ってもらえず、何度も配達、ということになるそうです。雨の日は、荷物を濡らさないようにと、濡れ鼠になって配達されています。さらに、短時間指定に応えるため、時間にも追われます。壊れたなどと嘘を言って、お金を騙し取ろうとするクレーマーの対応もあります。
少し前になりますが、ある配送業者さんが、クール品を外気と同じ環境で仕分けをしていた、とスキャンダルになりました。悲鳴を上げている現場を間近にすると、責められない気持ちになります。
気持ちが擦り減ってしまい、もう辞めたい。ストレスと過労で倒れたり、日々イライラしているので、家族と上手くいかない、といった話を配送スタッフの方から聞くと、本当に心を病まないで、といつも祈ります。
私にできることは少ないですが、できるだけ配達を一度で済ませてもらえるように、またご入居者も、再配達を手配しなくてよいように、定期的に宅配ボックスをチェックして、気付いていない方に、早めに取り出していただけるようお知らせをしています。これからも、思い立ったら行動、を心がけていきたいと思っています。