退去立会い

退去の際に、備品を返却いただいたり、一緒にお部屋のダメージをチェックする、契約終了までの最後のプロセスが、退去立会いです。

普段はマネージャーが担当ですが、出勤できないという日があり、以前代役として登板したことがありました。

その日はさらに、本来は、原状回復工事(入居前の状態に戻す工事)を担当するプロの方に同行していただいて、ダメージ箇所を一緒に確認するはずが、この方も来られない状況で大役を仰せつかり、不安を感じながら当日を迎えました。

残置品(お忘れ物や処分依頼品)がないかの確認をし、次にダメージチェックを・・と一つ一つ丁寧に、と予定していたものの、引越しも済んで、とにかく早く帰りたいご入居者からの無言のプレッシャーに、次第に焦る私。

とにかくやり終えて、次の日マネージャーにバトンタッチしたところ、次から次へとダメージチェック漏れが。お預かりしている敷金から、原状回復工事代金として修繕費を差し引くことを了承いただかないといけないのですが、数日後、案の定マネージャー宛に電話があり、若干揉めている様子・・。

ダメージチェックはざっと見るだけでいいから、と言われていましたが、“ざっと”のレベルが素人過ぎて、ざるよりも粗かったらしく、注意を受ける羽目に苦笑。マネージャーに連れられて、退去後のそのお部屋へ行き、説明を受けながらポイントを確認してみると、なるほど奥が深いと、唸ってしまいました。

ウォークインクローゼットの床付近の木部の剥がれ。壁紙やカーペットの汚れやピン痕に、ガラスのキズ。特に、目線よりも上や下、振り返ってわざわざ見ようとしないと視界に入らない部分のダメージは、気を付けていないと簡単に見落とします。

誰でも、退去時にお金を払わなくて済めば言うことはないわけで、元々退去清算は、交渉が折り合わず、揉めることもしばしばです。ただ、この時のケースは、私が、「綺麗で、何もなさそうですね」と安易に言ってしまったがために、相手に期待をさせ、結果的により不快にさせてしまいました。

今考えると、このミスも、一つの転機だったように思います。以降は、ご入居者のご都合も考えつつ、自分のペースも出来る限り守り、少しでも怪しい箇所は、とにかく「負担をお願いする可能性があります」と一言伝えておく、というスタンスを取るようになりました。

その後も、エアコンの前面パネルの部分破損や、トイレの便座破損。シンクの凹みや、見逃しがちな天井のダメージ。床石の割れや、各種電化製品の部品欠損などなど、限りないケースに出くわし、ごく限られた時間内で、責任を持って、“ここは修繕費が発生します”と言い切らなければならない、プロの業者さんは、大変だなぁとつくづく思っている私です。

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