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引きこもりの母親
息子の部屋の鍵
「お願い、お母さん。もうちょっとだけ。」
いつものように、息子・陽介の部屋から聞こえてくるのは、その甘えた声と、ゲームの音だけだった。陽介は25歳。大学を卒業してからずっと、この部屋から出ようとはしない。仕事にも就かず、友人もおらず、唯一の関心事はゲームと、母親である美智子からのお金だった。
美智子は、陽介の部屋のドアの前でため息をついた。もう何年も、この光景は変わらなかった。かつては、陽気で明るい息子だった。しかし、大学受験の失敗をきっかけに、陽介は部屋に閉じこもり、少しずつ変わっていった。
「陽介、お昼ご飯よ。」
美智子は、ドアをノックした。しかし、返事はなかった。いつも通りだ。陽介は、美智子の声を無視して、ゲームに熱中しているのだろう。
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