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早生まれ:ライジング(2024/10/22)

4歳の娘は、保育園の先生の話を、とても良い姿勢で、はじめから終わりまで聞いていられるのだという。

娘は3月31日生まれなので、いまも、おそらくこれからも、クラスで一番最後にお誕生日が来る子だ。だから入園時には、親としてはやっぱり、すこし不安があった。最大で1年の違いがあるなかで、クラスのみんなについていけるのかと。ついていけないことで、本人が自信を損なうようなことにならなければ良いなと。

実際、昨年の、年少クラスのときには結構苦戦していた。給食を食べるのも、お着替えをするのも、教室のなかでいちばん遅かった。手が追いつかないというより、みんなと一緒に行動しようという意識が薄いように見えた。

先生たちも心配していたのか、個別の保育参観をわりと頻繁に勧められた。自営業で時間の融通はきくので、勧められたら断ることなく、ぜんぶ行った。行くたびに、副担任の先生がつきっきりになっている場面をたびたび目にすることになった。

やはり早生まれだと苦戦しやすいんだろうか。それとも、私も性質として集団生活があまり得意ではないので、それが娘にも似てしまったんだろうか。

もちろん仮に不得意だったとしても、それは娘のなかに、無数に存在する得意不得意のなかのごく一部にすぎず、「親としては、本人の形にあった支え方をしていこうね」という根幹の部分には影響しないのだけれど、それでも「自分が集団生活が苦手でけっこう苦労したなあ」ということを思うと、さて自分は何ができるかしら、何をするべきかしらと、もちろん本人には伝わらないようにだけど、ちょっぴり悩んだりもした。ほんのちょっぴりね。

だけれど最近は、なんだかずいぶん様子が違っている。個別で保育参観に呼ばれることもなくなったし、お着替えも給食も「決して早いグループではないけど、みんなについていこうと頑張る姿勢がみえるし、実際ついていけている」と担任の先生が話してくれた。冒頭のように、話を聞く姿勢をすごく褒めてももらえた。

登園のとき、お迎えのときに、クラスのお友だちに「おはよう」「ばいばい」と自分から挨拶したり、ハイタッチしにいく場面が多くなってきた。家に帰ってからも、保育園で楽しかったことを自分から話してくれることも増えた。苦手なことであっても、「◯◯組さんだからがんばる!」と挑戦してみることが増えた。

保育園そのものもたいへん楽しいようで、家で私や妻と喧嘩したときなんか、「もう!今から保育園に行く!」なんて怒り方をしたりもする。しっかり自分の居場所と思っている。

すごく、成長だなとおもう。私はまあまあひねくれているので「集団に溶け込むことばかりが成長というわけではないものの」とは思っているのだけれど、それでも、これまで出来なかったことが出来るようになり、それで本人が以前より楽しそうに保育園生活を送れるようになったわけなので、なんかもう、すごいなあと思う。

今日の「これ読んで」

自由を鳴らす石

音響を生業としている方をモデルに「あなたのショートショート」で書かせていただいた作品です。取材のとき「これまでに聞いたなかでいちばん幸福な音」という話題になり、自分にとっては当時妻のお腹のなかにいた娘の心音がそれにあたるな、と思ったのですが、その子もこんなに大きくなりました。

あばうとみー

辺川銀です。ぺんかわぎんと読みます。ぺんぎんが好きです。文章屋さんです。「あなたのお話を小一時間きいて、それを基に短い小説を書きます」というサービス「あなたのショートショート」もやっています。

ホームページ:ねこぺんぎんの絵本棚
ツイッター:@penkawagin

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