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南側の大きな窓!カーテン閉めるしかない家ってどうなの?

南側といえば大きな窓!相変わらずのワンパターン。
丸見えの通り沿いだろうがなんだろうが相変わらず南側に大きな窓を作ればよいと考えている住宅が多いと思いませんか?
そこで私たちの考える正しい南側サッシとの付き合い方をご紹介します。

やっぱり南向きの土地が最高?!南向き信仰って?


日本には江戸時代の頃から南向き信仰があるのはご存知でしょうか。
江戸時代の庶民は長屋住まいで日当たりは関係ない。北向きの日が届かない、湿気の多いじめじめした立地に追いやられていた人が多く居たそうです。厠なども北側へ集められていたため、長屋住民たちは健康に過ごすことすらできませんでした。その代わり井戸端という寄り合いで、日にも当たりコミュニティを温めました。
この頃から北向き=悪、南向き=良という考え方が広まっていったそうです。
今でもこの名残で南向き=良という呪縛に囚われているのです。

https://www.excite.co.jp/news/article/Japaaan_53002/

例えばアメリカでも南向き信仰が大きな影響力を持っているのでしょうか?
そんなことはありません。
むしろ北向きの方が良いとされています。
アメリカの住宅作りは広大な国土から敷地を大きくとる考えが一般的です。
そのためガーデニングも盛んですね。
そこで玄関ポーチのベンチに腰掛けてご家族が手掛けたお庭を眺めているシーンを想像してみてみましょう。
玄関ポーチから眺めるお庭。
お花の数々は玄関ポーチ側を向いていませんか?
道路側を向いてはいませんよね。お花の多くは太陽の方へ花を向けます。
そのため住宅は北側に向けます。そうするとお花は南を向くためお花は
住宅の方を向いてくれますね。
逆に南側の敷地に庭を作って花を植えるとみんな道路側を向いてしまいます。
詳しくはいつか「借景がプランニングの糸口となる?」で書かせて頂きます!

このように地域性や時代、価値観によって考え方は全く違います。
現代では変化のスピードがものすごいです。
未だに南向きの土地が良い!北向きの土地は悪い!
そういう事ではないのです。
住宅を建てる側の業者が結局未だに南向き信仰を煽ってきているのです。
その方がニーズを生み出しやすく高値で販売することができますからね。

政治の考え方と似ていますね。
提供されているものだけの選択肢の中から選ぶのではなく、
住宅計画を進めている人自身が何が正しいのか、どこに価値観を置いて正しく選択するかを積み上げていく事が大切だと考えるているのです。

どのお家を見ても大きな窓にはカーテンが閉まっています。

なぜせっかくの大きな窓にカーテンが閉まっているのでしょうか。
そういえばカーテンが閉めっぱなしの大きな窓の家が多いと思いだせると思います。
そうです。
カーテンが閉まっていることを皆さんが認識していることが原因です。
南向き住宅は夏場の暑さが厳しいことがいえます。
メリットであるはずの「明るく、暖かい」ことが裏目に出てしまうのです。
また、朝夕は日が入らないので、昼間は外出していることが多い人の場合はメリットを感じにくいかもしれません。
それに都会の住宅地では家が密集しており、せっかく南向きに大きな開口部があっても日が遮られたり、プライバシーが気になってカーテンや窓が開けられなかったり…。これでは、せっかくのメリットも活かせません。
そのため南向きの住宅の強みであったはずの大きな窓からは日も入らず、風も抜けず、開放感を得ることができずに通行人の視線をさけるようにカーテンを閉めっぱなしになってしまうのです。

本当に南側に大きな窓は必要ですか?

それならば今一度考えてみましょう。
本当に南側に大きな窓は必要でしょうか。
南側のリビングに掃き出しの大きな窓は必要でしょうか。

紫外線は悪?

大きな窓からはたっぷりの日が差し込まれます。
冬は明るく、温かい日差しが家中に届くのはとても気持ちが良いです。
では夏はどうでしょうか。
大きな窓からはこれまたたっぷりの日差しが届きます。
エアコンも効きにくく、日差しに含まれている紫外線により、インテリアや
床も変色してきてしまいます。
防ぐにはカーテンを閉めるか大きな観葉植物を置くしかありません。
体への影響には諸説ありますが何事もやりすぎはよくありません。
そのため強い日差しがどうやったら差し込まないかをプランニング段階から考えてみましょう。

太陽は室内に差し込ませるのではありません

単刀直入に申し上げます!日の光は差し込ませるのではく、届けるのです。
???
様々な方法があります。

  • ルーバーやデザインブロックで日を和らげ、風を通して、視線を遮る

  • 中庭を設けて間接的に日の光を届ける

  • 小さい窓を点在させ、日の光を集める

  • 方位に対して配置で角度をつける

ルーバーやデザインブロックで日を和らげ、風を通して、視線を遮る
中庭を設けて間接的に日の光を届ける
小さい窓を点在させ、日の光を集める
方位に対して配置で角度をつける


ではどうやって南側のサッシと正しく付き合えば良いか

こちら最後のチャプターは施工事例を見て頂けるとわかりやすいかもしれません。

南向き角地の立地 ルーバーで直射日光を防ぎ、目隠し、風を通す
ルーバーから部屋に直接ではなくデッキを介してリビングへ日の光を届ける
リビングへデッキ越しに届く日の光

終盤怒涛の写真ラッシュとなってしまいました。
こちらの案件は南向き角地をオーナー様が購入し、オーダーメイド住宅の
設計施工を依頼してくださった事例です。

出来上がったプランを確認してみると
LDKをあえて2階に持っていき、
折角の南側に大きなルーバーを設けたのです。
なおかつリビングに大きなデッキスペースを設けてルーバーとリビングの間に空間を作ったのです。
プランを初めて見たときせっかくの南向きの立地になぜ?
部屋の中が暗くなってしまうのでは?
と、当時素人同然の私は強く疑問を抱いたのを覚えています。

しかし住宅が出来上がると見事に程よい日の光が建物の中に届くのです。
角地というプライバシーを確保しずらい条件を逆手に取り、リビングと連動感の強いデッキスペースを設けるためLDKとデッキスペースを2階に持っていきルーバーで囲う事でプライバシーを確保し、風の通りを確保し、
南からの強い日差しを和らげ室内に日の光を届けることができました。

このようにプランニングの要素を安易に決めたり限定することなく、
少なくとも3つ程度の要素を炙り出しながらプランを進めていく事がとても大切です。オーナー様のライフスタイルに寄り添いながら土地の性格を理解してプランニングを進めていけば
南向き、北向きに必要以上にこだわることなく快適な住宅作りができます。

次回は「良いデザインは目立たないデザイン?」を投稿予定です!

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