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ENDER LILIES が楽しかったという話(2021/08/16 追記)

アーリーアクセスとして公開された時点で、まずビジュアルとBGM、そしてアクション楽しいとして高い評価を得ていた本作。2021/06/22にめでたく本リリースを迎えたので、勢い付けて遊んでクリアしました。ので感想文です。超楽しかったです。

どんなゲーム?

いわゆるメトロイドヴァニアです。2D横スクロールで、小分けにされた多数のマップを探索して周り、二段ジャンプや空中ダッシュといった追加アクションが解禁される度に行ける場所が増えていくやつです。敵が強く、気を抜けばすぐ死ぬ難易度も特徴の1つ。

お話の導入と”物語り”

教会の地下で眠っていた少女。それを起こす、顔が見えない全身甲冑の騎士。この騎士は少女に記憶が無いのをいいことに、色々なことを吹き込み「外は危ない。おじさんがついていてあげよう」と言います。

完全に事案です。


………嘘は言ってないですが本当でもないです。とにかく「白巫女」と呼ばれる少女と、白巫女と浅からぬ因縁を持つ霊魂だけの騎士が、触れると穢れた不死の化け物「穢者(ケモノ)」になってしまう「死の雨」によって滅び、腐り落ちた世界で希望を探すお話です。
基本的に少女はうなずくかイヤイヤだけで言葉を発することはなく、騎士の方が語り部として機能します。ただ彼も多くは語りません。ボスを撃破した際に垣間見える記憶とスキルのフレーバーテキスト、そしてあらゆる場所に点在しているメモや手紙といった「今はもう人ではなくなってしまった人々」の遺品のテキストから、世界の輪郭を感じ取る”物語り”タイプのお話です。

+昨日の敵は今日の武器システム

敵はすべて穢者。少女はその穢者から穢れを引き受け、浄化する力を持ちます。その結果として、彼らの力の一部を霊魂として召喚して「代わりに戦ってもらう」のが本作のキモになります。さっき倒したボスが、次の瞬間には強力な武器になるわけです。騎士のおじさんは守護らナイトなので何もしなくても戦ってくれます。
武器はメインとサブに分けられ、3種2セットの合計で6種類までセットできます。メイン同士の同時起動はできませんが、サブは同時に起動し、さらにメインをかぶせることができます。なので、メイン1つとサブ2つを2セット用意するのが基本になるのかなと思います。状況に応じて切り替えるわけです。
鉄球で殴りつけながら毒を吸わせ、さらにハンマーを叩きつけるなど、1人3役4役5役といった攻め手の多さが非常に楽しいです。慣れるまで、自分の中でコンボが確立するまでは、手元忙しくて大変ですけどね。
エリアごとに「正面からの攻撃を弾く盾持ちが多い」「飛行敵が多い」といった特徴づけがあるので、都度スキルセットを有利な構成にしていくことで、攻略の難易度は劇的に下がります。
ちなみにスキル強化もできますが、普通に遊んでいるとゲームクリア時点で最大強化できるのはせいぜい6種くらいになると思います。適当に強化していると泣きを見ますが、終盤に入手するスキルは初期レベルが高くなっているので、失敗しちゃったなぁという場合は、そっちを使いましょう。その点、探索をしっかりすれば別枠で最大強化できる守護らナイトおじさんは頼りになります。逆に言うと探索しないと役に立ちませんが。

+快適な探索とリトライ

基本的にはストーリー上重要なボスを倒す度に、メトロイドヴァニアあるあるの特殊な行動(2段ジャンプとか、壁壊すとか)がアンロックされていきます。今まで行けなかった場所の探索が進められるようになる!のはいいのですが「そもそもマップのどこだっけ?えっあそこまで戻るの…うげ…」とは誰しもなるもの。
しかし本作のマップは非常に優しく「ここにはまだ探索すべきものが残っているよ」というのが明示され、さらに「こっちにまだ一度も足を踏み入れたことがないエリアがあるよ」「こことここは繋がってるよ」などが読み取れます。さらに序盤からセーブポイント間を繋ぐファストトラベルが解禁されるため、マップの行き来がさほど苦にはなりません。その面倒くささもゲームのうちと思う人もいると思いますが、大抵の人にはプラスに働くと思います。

そしてこのセーブポイントの数が結構多い。点々と、消防署ばりに本当に点々と配置されています。まぁ本当に何かがあったに違いないから世界崩壊しちゃってるんですが、とにかく「あーHPキツくなってきたなー…」と思ったら隣のマップがセーブポイント!ということがよくあります。
高難度を謳う本作ですが、このセーブポイントが大ボスのすぐ隣、最低でも「雑魚を楽々無視してボス部屋にたどり着ける」配置になっています。何度もリトライするのに、イチイチ雑魚を倒しギミックを処理して(失敗してボス前に削られてロードし直して)といったことがありません。ボス戦に集中できますし、スキルセットや装備もボス戦に特化した構成で臨むことができます。ゲームとしてデスペナルティが存在しないのも、何度でも気軽に試せてリトライ性に拍車をかけています。ボス戦前の演出もちゃんとスキップできます。

+崩壊した世界に染みるBGM

寡聞にして存じませんでしたが、本作の優しかったり哀しかったりするBGMを作っている人たち「Mili」という音楽グループなんですね。「Deemo」とかに曲をお出ししてたとか。

これがまたとても良い。

明らかにボスマップ。構える守護らナイト。深呼吸するプレイヤー。表示されるボスHPゲージ。そこから流れるのが、本当なら戦うこともなく仲良く暮らせるはずだった人たちへの哀悼歌みたいな、ピアノBGMなんですよ。分かってからも毎回「Oh…」ってなりながらボスと戦ってました。
さらにHPが減ったボスがモーションが増える等の段階移行すると「さぁ殺しにいくぞ」とばかりに、曲調の方も激しいものに変わります。

これがまたすこぶる良い。

もちろんボス以外のマップで流れるBGMも良質です。セーブポイントでちょっと休憩がてら目薬さして横になったら3時間熟睡してたぐらいには良質です。

-難易度の上がり方が急(2021/07/03 追記)

中盤辺りで、急激に難易度が上がるタイミングがあったように思います。具体的には敵が硬く、火力が上がり、加えて「視界が悪い」といったものです。Steamでマイナスレビューつけてる人の中にも、その辺が気にいらないって人がいましたね。まぁ気持ちはわかります。終盤にも、一部スキルでいなさないと大変苦労する無茶苦茶な敵が出てきたりもします。

(2021/07/03 追記)………だったのですが、少なくとも「中盤辺りで、急激に難易度が上がる」の部分については、パッチで相当に緩和、修正されたようです。恐らくこのゲームのバランス調整を語る上で、難点とすべきはこの部分のみだったと思うので、これでパーフェクトリリーです。

スキルも装備も見直して、それでも詰まったなーとなったら、一旦別のエリアの探索に向かうのがいいと思います。そこで見つけたサブのボス(つまり新スキル)や装備で、突破口が見つかるかも知れません。スキル強化用のアイテムも見つかれば、霊魂の皆さんを強化することもできます。
また本作はレベル制であり、探索で成果を得られなくても、HPの上限とベースの攻撃力を上げることができます。ある程度はレベルを上げて物理で殴れるので、延々死んでプレイヤーの穢れを貯めるよりはオススメです。

-クリア後に残されるもの(2021/08/16 追記)

+で書いたようにマップの探索が快適なため、徐々にマップを埋めながら進めていると、ラスボスに挑む頃にはマップがほとんど埋まり、なんなら大半の実績が解除されている状態になります。私はなりました。
これはゲームデザインが秀逸である証左でもあるかなと思うのですが、1つ難点があります。終盤に入手したスキルや装備を、ぶつけるべきボスがあまり残っていないんです。まぁ道中の雑魚も大概強いし、それを組み上げたスキルセットでなぎ倒していくのも大分楽しいんですが、やはり本番であるボス戦が欲しい。ちょっともったいないなーと感じます。
本作には2週目であったり、NewGame+といった周回要素は、コレ書いてる時点ではありません。ボスラッシュとか、ボスの再起といったシステムもありません。その辺、追加されると嬉しいですね。せっかく穢れから解放された彼らを何度も張り倒すのは忍びないですが、許して欲しい。

(2021/08/16 追記)………とか言ってたら、おおよそ書いた内容そのままの再戦、連戦、NewGame+、さらにチャレンジモードにムービーの再視聴といった各種要素が追加される形となりました。当該アップデートでは、主に使用率が低かったであろう諸々のアッパー調整を中心にバランス調整も実施されています。言うことないですね。

最後に

PVの時点でぱっと目を引くビジュアルとBGMの良さ。身体能力に優れるわけではない少女の必死なヘッドスライディング。騎士と少女のおじロリ。誰もが幸せを願って、失意の中で化け物に堕していった最悪の世界観。そういったものが気になるなら、ぜひ購入してください。ゲームとしての難易度は高い方ですが、このジャンルとしてはまだマイルドで、リトライ性の高さもあって何とかなると思います。

【ENDER LILIES(Steam版)】
【ENDER LILIES(Switch版)】

「Steamサマーセールの時期に新発売」という、比較的命知らずなタイミングでの登場となった本作。まぁ、定価でも2,800円程度ですから、買ってから遊ぶかどうか決めてもいいんじゃないでしょうか。ほら、ウィッシュリストからカートに移動して、チェック1つ入れて決済するだけですよ。

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