衛星紹介シリーズ1:Sentinel(センチネル)
※表紙の写真は欧州宇宙機関の本部があるパリのオルリー空港(Google Earth提供)
衛星に関する記事の2本目、今回から複数回にわたってビジネスの現場で活用されている衛星をご紹介します。第1回目は欧州宇宙機関(ESA:European Space Agency)が運営している「Sentinel(センチネル)」という衛星です。
SentinelにはSentinel-1A/BとSentinel-2A/Bがあり、それぞれ2機体制で2014年から運用が開始されました(現在、1Bは運用休止中)。1は陸地と海上を、2は陸上を主に観測しています。
Sentinel-1はSAR(サー)衛星で、合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)を搭載した人工衛星です。電磁波(マイクロ波)を地表に向けて照射し、反射波を受信・解析することで地表の状態を映像化します。雲を透過して地上を観測できるため、雨雲の影響を受けません。
これに対してSentinel-2はカメラで地表を撮影する光学衛星であり、雲がある箇所は観測できません。ただ、搭載している波長数が多く、多様な解析が可能なこと、また光学衛星は解析の手間がSARよりも少ないことから、陸地の解析にはSentinel-2が多用されている印象です。
「Sentinel-2」は、1ピクセルあたり10mから60mの解像度を持つデータを提供し、地球上の細部まで詳細に観測することが可能です(下図、参照)。解像度は最近の衛星に比べるとやや粗いため、その分価格は安くなっています。
また、Sentinel-2の特定の波長における観測値を加工することで、下図のように地表植物の育ち具合を可視化することも可能です。この画像はNDVI(Normalized Difference Vegetation Index)と呼ばれ、植生の分布状況や活性度を示す指標になっています。北海道では、小麦の生育をNDVIで監視し、刈り取り時期の判断や肥料を撒く位置の特定を行っています。
さらに、Sentinel-2は約5日に1回の頻度で全球を撮影しており、地表の変化を時系列で観測することが可能です。
色々とSentinel-2の特徴をご紹介しましたが、まとめると「5日に1回、地表を様々な角度から解析でき、しかも安い」ので、農業だけでなく気候変動の解析など、幅広い分野で活用されています。
以上、Sentinelのご紹介でした。最後までご覧いただき、ありがとうございます!(フォローお願いします!w)