おやすみ

#8「もし1ヶ月の休暇があったら。」もしくは毎年1ヶ月の休暇をとるために僕らがやっていくこと。

自分たちが本当に過ごしたい人生。
・子供たちと過ごす時間が毎日きちんととれること。
・健康をたもてるような時間に起きて、眠ること。
・おいしいご飯を毎日みんなでたべること。
・年に一度、1ヶ月の休暇をとって旅をすること。

自分たちのお店をはじめるにあたって、まずはなんのために僕ら夫婦がお店をやっていくのかを考えた。芯になったのは『時間をたいせつにする』ということ。

僕らには2歳になる息子がいる。彼は僕が38歳、はなちゃんが37歳の時に東京で生まれた。妊娠中から子育てをする中で、はなちゃんに負担が集中し、一緒に過ごす時間もなかなかとれずに何度もケンカになった。こんなはずじゃないと思うこともしょっちゅうだった。

お金はもちろん必要。だけど、なにより時間が欲しいと思っていた。

ふたりで世界一周の新婚旅行をしていた時は、すごく時間があった。
24時間365日ずっとずっとふたりで過ごしていた。
まあほんとくだらないことでたーくさんケンカもしたけれど。

と、そんなわけで僕らは自分たちもうれしい、来てくれる人たちもうれしい、『時間をたいせつにする』ためのお店を考えはじめた。

例えば、営業時間。
基本的な営業時間は16時ごろから22時くらいまで。でも、お昼前から僕らはお店に来ている。はなちゃんは自分の仕事をしてるし、僕はのんびり仕込みしたり、メニューを書いたりしている。お昼はふたりで作って食べるし、ふたりでコーヒーも飲む。
そこに遊びに来たり、ご飯を食べに来たり、コーヒーを飲みに来たりする人たちがいる。もちろんオッケー。「彼女にふられた」と昼酒をあおりに来る人もいるかもしれない。オッケー。お母さんが作ってくれたお弁当を持って来て食べる。オッケー。ちょっと10人でミーティングさせて。オッケー。
イメージは街の公民館。お酒やコーヒーも飲めて、カレーくらいは食べられる。
ぼくらは16時くらいからなんとなーく営業モードに入ってる。はなちゃんは息子を保育園に迎えに行って、帰ってくる。息子はお店でごはんを食べ、来てくれる人たちと遊び、お風呂までの時間を過ごす。
席数はたっぷりあるので、来てくれた人たちには時間を気にせずなるべくゆっくりのんびりしてもらう。22時になったらいったんみなさんにお会計してもらって、そのあと僕がひとりひとりのグラスにお酒を注いでいく。そこにいてくれる人たち全員で一緒に過ごした時間を想いながら乾杯して、一日が終わる。

このイメージを実現しつつ、毎年1ヶ月の休みをとる。

僕らはお店を作る時に、年間11ヶ月営業で週末に1回転すれば経営が成り立つお店を作ろうと考えた。最初はちいさなお店にしようと思って物件を探してたけど、やめた。どんなに考えても、ある程度の規模じゃないと無理だった。
どうしても40席は必要。でも、基本的に僕ら夫婦と手伝ってくれる人がひとりかふたりでやれるように。じゃあ来てくれる人が楽しめて、かつ、自分たちの手をあけることができることはなんだろうと、今は楽しいセルフサービスをいろいろ考えている。(もしアイデアあれば、ぜひ教えてください)

現在2019年3月3日ひな祭り、鹿児島マラソンの(東京マラソンもやってた)日の夜。開店まであと2週間すこし。雨の音を聞きながら「最初の1ヶ月休みにはどこに行こうかなー」とぼんやり考えている。
「そんなことよりもっと考えることあるでしょ」と、はなちゃんには怒られちゃいそうだけど。

(つづきます)

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ペンギン酒店 ろくちゃん(居酒屋店主)
子育てしてる大人たちが心からリフレッシュできる飲食店を作っていきたいと思っています。応援してくれたらとってもうれしいです。