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#25「優しさとは」ーこんなお酒と出会いました。
レイモンド・チャンドラーさんの「プレイバック」という小説に出てくるセリフ。
「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」という訳が有名ですが、原文はこんな感じ。
If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.
基本的には人から見て「強い」人間でなければ生きていけない。
でも時と場合に応じて「優しく」なれなければ生きている価値はない。
という意味みたいです。
(今は村上春樹さんの翻訳もあります。あらためて読みたい。。。)
最近「☆☆とは」という言葉の意味について考える前に、それが「なんのための」ものなのかという存在目的とかある種の効用について考える。
居酒屋とは、
今まで自分が知らなかったお酒やアテ、そして自分以外の人(その店で働いてる人、飲んでる人)と出会うことで、自分の時間をより楽しく過ごすための場所。
だからそのために必要なものだったり、有効なものだったりを日々楽しく準備するんだよなー、と考える。
で、優しさとは。
これね、むずかしいです。
自分以外の人とか物とか事のことを「優しい」と感じることはあっても、自分のことを「優しい」と本当に感じることってあるかなー。というのがひとつ。優しい人とか、優しいことについて書いてくれる人っていっぱいいるし、そっちを読んでほしい。ぼくも読みたい、というのがひとつ。
なので、僕はお酒の味や香りの方にちょっと話を振っちゃいます。
お酒の味や香りに感じる「優しさ」って、調和のことなんだと最近実感しました。7月6日の土曜日にぼくらのお店がある騎射場というエリアで「キシャバル」というイベントをやったのです。
その時、ペンギン酒店といっしょに参加してくれた宇都酒造さん。
この焼酎蔵に以前おじゃましたときのこと。
宇都さんの造る「金峰 紅はるか」を石蔵の中で飲ませてもらいました。
もともと、はなちゃん(うちの奥さん)は芋焼酎が苦手なんです。でも時々「美味しい!これなら飲める!」という焼酎に出会います。で、もちろん金峰 紅はるかもそういう焼酎だったんですが、その時に宇都さんがおっしゃったひとこと。
「自分が焼酎造りで大切にしてるのは、調和なんです」
蒸留がおわってすぐの、出来たてのお酒というのは味も香りも鮮烈です。液体の中でいろんな個性が爆発しています。その中には飲む人が「いいな」と思うものも「やだな」と思うものも含まれています。
そのすべてをまるごと愛するような酒好きもいますし、やだなと思う部分を指摘して改善を求める酒好きもいます。
焼酎に関していうと、出来てからある程度寝かせることでだんだんと角がとれてくると言います。なのでたいていの焼酎蔵では、出来たての焼酎と寝かせた焼酎をブレンドしてから瓶詰めすることで「鮮烈な味や香り」と「角のとれた状態」がどちらも感じられるように造っています。
宇都さんがぼくらに話してくれたのは、出来たての焼酎の変化について。
出来たての焼酎を寝かせることを熟成といいますが、熟成によって増える味や香りがあるわけではない。熟成によって爆発していた個性が減ることでだんだんまわりと調和していくのではないか。タンクのなかで温度管理しながら寝かせて見守りながら、バランスがまあるく調和した状態をめざしている、と。
この調和を、ぼくは「優しい」と感じました。そして今までで一番優しいと感じた焼酎が「金峰 紅はるか」です。巨峰のような日本のぶどうの香りがあって、すーっとしみこんでくるような味わいがあって。ソーダで割って香りを弾けさせてもいいし、水で割って延々と飲み続けてもいい。
そしてもうひとつ。この焼酎は相手を選ぶことがないです。
ぜひみなさんに飲んでほしいので、このnote.を読んでくれている人たちの中から抽選で10名様に「金峰 紅はるか」を差し上げます。
と言えるような、優しい人になれるように今日も一日がんばっていきます。
(つづきます)
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![ペンギン酒店 ろくちゃん(居酒屋店主)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/9370472/profile_65f9189e97261a04c774c9e6e8625086.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)