第4期絵本探究ゼミ第1回(9/10)振り返り
第2期から参加させていただいている、絵本探究ゼミの第4期がスタートしました。
すでに第2回も終了したのですが、まずは第1回の振り返りから。
今期の目標
TAとして
前回3期はFAとしてチームをまとめるというか、チームメンバーそれぞれの学び深まるようにと大役をやらせていただきました。
みなさん熱心で、いい話し合いができたと思いますし、最後にリアル、オンラインで全員揃っての発表ができたのがよかったです。
みんなが揃うのはなかなか大変でしたが、終わってみるととてもいいメンバーに恵まれて、支えてもらったなという気がしています。
今回はTAということで、ミッキー先生の講座がスムーズに進むように裏方を精一杯務めたいと思います。
翻訳絵本
今期のテーマは翻訳と絵本の絵を見るということで、私は特に翻訳に注目したいと考えています。
個人的にスペイン語を学んでいます。スペイン語の学習のきっかけは南米留学でしたが、絵本と出会い、スペイン語を絵本を掛け合わせてスペイン語絵本の翻訳をやってみたいと思うようになりました。
「絵本を手渡す」役目として、いずれは外国の優れた絵本を日本の読者に届けたいと思っています。
チームのブレイクでもお話をさせていただきましたが、講座が終わるまでにスペイン語の絵本を1冊、日本語に翻訳しようと思います。
工藤直子さんの翻訳絵本
私は今回の講座の中で、「翻訳家ではなく、詩人が訳すと絵本の文章が短くなる」というお話に興味を持ちました。谷川俊太郎さん工藤直子さんのお名前が挙がっていましたが、谷川俊太郎さんはレオ=レオニの訳など何度も読んできた気がしたので、工藤直子さんの翻訳に注目することにしました。
『つるになった少年』
『つるになった少年』
アローン・レイモンド・ミークス 文・絵
くどうなおこ 訳
河出書房新社、1993
世界の民族絵本集からオーストラリア、アボリジニのお話。
ある日、エノーラという少年が色のつぶみたいなものを見つけ、それを追いかけていく。
色のつぶがある鳥にさわり、エノーラはその鳥に棒をぶつけ、鳥を殺して村に持ち帰る。
その鳥はつるだった。
鳥を地面におろすと、エノーラの手のひらにも羽がはえていることに気づく。そしてつるになるという話。
音読してみると、とてもリズムがよいと感じました。
たとえば
分かち書きと改行で、見た目もリズム感があると感じ、言葉も短いシンプルな言葉で表現されています。
悲しい内容のお話ですが、リズムがあるので躍動感も感じました。
『ねるまえに「よんで よんで」』
ねるまえに「よんで よんで」 (大型絵本) | マシュー プライス, アツコ モロズミ, Mathew Price, 工藤 直子 |本 | 通販 | Amazon
『ねるまえに「よんでよんで」』
マシュー・プライス 文
アツコ・モロズミ 絵
工藤直子 訳
岩波書店 2004
「こぎつねジェイク」「ねてくれ くまくん」「ゆめのなかに はいってみよう」「ころころ こねこ」「ねえ おはなしして」の4つのお話が入っているオムニバス形式の絵本。
今日はどのお話にする?というコミュニケーションを取りながら、ベッドの中で読むのによさそうです。
「こぎつねジェイク」はおかあさんが忙しくて構ってもらえないからと家出をします。
「○○ばったり」「○○のっそり」
「○○ばったり」「○○ぺろり」など韻を踏んでいるのも楽しく読める理由の一つなのだと感じました。
初めの1、2ページはそれぞれ「ああ いそがしい」というお母さんの言葉で終わっていて、子どもたちは繰り返しが好きだし、忙しさが強調されていると感じます。
「ねてくれ くまくん」はくまくんが寝る前にあれやったかな?これやったかな?と心配になってベッドを何度も抜け出し、友達のねずみとねこに注意されるお話です。
「ころころ こねこ」の「ころころ」も繰り返しの擬態語でリズムがよく、こねこがミルクを求めていろんな動物を訪ねるというお話です。
『絵本で出会う 星の王子さま』
絵本で出会う 星の王子さま (名作&導入【3歳・4歳・5歳からの絵本】) | サン・テグジュペリ, サン・テグジュペリ, 工藤 直子 |本 | 通販 | Amazon
『絵本で出会う 星の王子さま』
原作 サン・テグジュペリ
訳 工藤直子
ひさかたチャイルド 2015
私も何度も読んだ『星の王子さま』の入門編です。「3歳・4歳・5歳からの絵本」とあります。
バラの話とキツネの話がメインになっていますが、とてもシンプルにうまくまとめられていると感心しました。
やはりこちらもリズム感がよく、はずむように読むことができます。
絵本の最後には工藤直子さんから「小さなお友だちへ」というあとがきがあり、ご自身が子どものころに『星の王子さま』に出会って感銘を受けたので、小さな子どもたちにも出会ってほしいという内容が書かれています。
全編読みましたが、この絵本でも充分、『星の王子さま』の世界、メッセージを伝えることができるように感じました。
大きくなって全部を味わうというのが理想な流れのような気がします。
『月夜のみみずく』
Amazon.co.jp: 月夜のみみずく : ジェイン ヨーレン, ジョン ショーエンヘール, 工藤 直子: 本
『月夜のみみずく』
ヨーレン 詩
くどうなおこ 訳
ショーエンヘール 絵
偕成社 1989
1988年コールデコット賞受賞作品。
残念ながら原書は読めていませんが、作者が詩人の方なので原文も短めなのかと想像しています。
とうさんとわたしが、みみずくさがしに出かけるお話です。
「でかけたの」
「でかけたの」
と繰り返しになっていたり、
「”ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーーーう”」がとうさんとわたしの声で対になっていたりとこちらも心地よいリズムが感じられます。
見返しに「くりかえし絵をながめ、文を読んでいるうちに、わたしは女の子になり絵本のなかに入っていくようでありました。」と工藤さんの言葉が載っていました。
工藤さんの翻訳絵本を読んで感じたこと
先ほど書いた『月夜のみみずく』の見返しの言葉から、このリズム感のある翻訳を生み出すために、ご自身が登場人物になったかのような錯覚を感じるほど精読されたのはもちろんのこと、リズム感を出すためには何度も何度も声に出して確かめながら仕上げられたのだろうと想像しました。
絵本は子どもが「読む練習をするためのもの」ではなく、「誰かに読み聞かてもらうもの」と言われたことがあります。
だからこそ、声に出したときのリズムや雰囲気はとても重要で、子どもが飽きないような工夫が大事なのだと感じました。
日本語になっていない外国語の絵本を翻訳するということは、外国の優れた絵本を日本の子どもたちに手渡すというとても大切な、誰にでもできることではない役割だと思います。
外国語で描かれた作家の想い、それを日本語で日本の子どもたちに届けるという、自分だけではない、他の大勢の顔を浮かべながら翻訳に取り組んでみようと思います。
講義では『ちいさいおうち』のお話がありましたが、実際に絵本を手に取ってもう一度じっくり録画を見たいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?