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ネトフリで観た映画色々 

◆ ギレルモ・デル・トロのピノッキオ
子供は子供の視点で、大人は大人の視点で、どちら側からでも、それぞれに楽しめるように出来ているストップモーションアニメ映画です。

ピノッキオのストーリーを原本に、ギレルモ風に大きくアレンジをしています。
時代設定も第一次世界大戦時のイタリアになっていて、ピノッキオが兵隊に入ったりしますし、ゼペット爺さんがピノッキオを作った理由は、息子を流れ弾の爆弾で亡くした悲しみからでした。

戦争を背景に置いたのは、生と死をテーマのひとつにしているから?と思いました。
ピノッキオは、木の人形が魂を持って、人間みたく動き出す物語です。映画の中で、ピノッキオは死の世界に行ったりするので、間違いなく生きている存在として扱われています。
ただ、人間ではなく、あくまで木で出来た人形。生きてるし、死んだりも(死んでも甦れる)するピノッキオ。原作では最後は人間にしてもらえましたが、ギレルモ版では、どんな選択をしていくのか?が見どころでした。

名作を名監督が改めて解釈して作り出すこと自体、ゼペット爺さんがキノッピオを作った理由に通ずるものがありそうです。


◆ あのこは貴族
去年から観たい、と思っていた邦画。
今の時代に貴族も平民もないだろうとは思いますが、実際に生まれた時点でその家柄の方向性に人生が左右される家は、まだまだあるらしい。

自身では知らない環境ですし、周りにもそういう人はいないので実感として湧きませんが、映画の中で「東京では貴族と平民は交わらないように出来てる」と言っていたので、気づけないだけなのかも?

貴族ってお金持ちで苦労なさそうでいいな、なんて思ったりしなくはないですが『あのこは貴族』を観ると、決まったレール上からはみ出すことをゆるされない、というのもキツイなと思うところはありました。


◆ ハケンアニメ!
アニメーション制作現場を舞台に、その1クールの覇権を獲りに行く新人監督の物語。2つのアニメが覇権を争うので、その1話ずつの上がり下がりの波に乗って、最期まで面白く見切れました。

作っているのがアニメなだけに、間にそのアニメーション自体が挟まりますが、そのアニメ自体が面白そうで、映画の顛末より、そのアニメの最終話がどうなるのか?の方が気になったり。

主役も良かったですが、敏腕プロデューサー役の柄本佑さんの演技が良くて印象的です。


◆ 西部戦線異状なし
アカデミー賞にノミネートされたこと、小島監督が2022年鑑賞した映画で良かったひとつにあげていたこと、それがちょうど重なり、興味が湧いて観てみました。
感想は、凄い…のひとことが一番しっくりきます。

1919年のドイツ対フランスの西部戦線にいたパウル・ボイメルを視点に、嫌になるぐらいに、生々しく描かれています。
土曜日に観ましたが、半分でいったん止めて、続きは次の日に観ました。観る側も気合が必要な映画です。

捕まえてきたガチョウを仲間で分け合って食べるような、ほっとするシーンはごく僅かで、最前線の激しさをそのままに描かれるので、感情の動きについていくのも難しい。

パウルが向かい合って敵を刺し倒すシーンがあるんですが、刺した相手がもう虫の息になっているところで、介護をし始めます。
単純に言えば、自分のしたことを悔いて、人として当たり前の「助ける」を自覚して行動したんだろうと考えますが、そんな簡単な感情の処理ではないような気がしました。

当人も、何故そのような事をするのか、今なにを考えて行動しているのか、把握できていない、そんなシーンだったかもと、観終わった今は思い返しています。


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