見出し画像

「精神疾患・保健体育教科書の記述 40年ぶり復活」1/5付け神戸新聞の記事で『仕事だいじょうぶの本』の著者がコメント

「精神疾患」高校で深い学び/保健体育教科書の記述 40年ぶり復活/増えるうつ病や不安症、10代でも/「対処法知って偏見解消を」

2022年1月5日(水)付け神戸新聞社会面に、2022年度から高校の保健体育の授業で「精神疾患」が取り上げられ、教科書の記述が約40年ぶりに復活するという取材記事が大きく掲載されました。

うつ病や不安症などの患者の増加を受け、2022年度から、高校の保健体育の授業で「精神疾患」が取り上げられる。学習指導要領の改定に伴い、教科書の記述が約40年ぶりに復活。10代での発症も多い中、予防や対処法を詳しく学ぶ。兵庫県内の学校現場や支援者からは、偏見解消の期待とともに「生徒がSOSを早く出せるようになれば」との声が上がる。

2022/01/05付け神戸新聞NEXT

この記事の中で、『仕事だいじょうぶの本』職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK〜の著者で、兵庫県精神保健福祉士協会の北岡祐子会長が、取材を受け、コメントを寄せています。

高校での学びに期待を寄せるのは、患者の支援を続ける県精神保健福祉士協会の北岡祐子会長(53)だ。「『病院に行ったのは20代だけど、高校時代から幻聴があった』という人も少なくない。
早く対処し、症状の悪化を防ぐためにも、知識教育は欠かせない」
 その上で「授業で教えた後のフォローも大切。生徒から相談を受けたら、先生と家族、学校のカウンセラーらが連携し、生徒を支える体制を整えてほしい」と求める。

2022/01/05付け神戸新聞NEXT

同新聞の記事によると、
・全国で使用される大修館書店(東京都)の教科書「現代高等保健体育」では、8ページにわたって精神疾患を取り上げる。
・グラフやイラストとともに「およそ5人に1人以上が生涯に1回は何らかの精神疾患を経験」「約75%は24歳までに発病」「15~39歳の最多の死因は自殺」などと記し、うつ病や摂食障害など主な疾患を詳しく説明する。
とあります。

「およそ5人に1人以上が生涯に1回は何らかの精神疾患を経験」
は、
厚労省みんなのメンタルヘルスに掲載されています。

「約75%は24歳までに発病」「15~39歳の最多の死因は自殺」に関しては、こちらの記事も参考に。

約75%は24歳までに精神疾患を発病


「約75%は24歳までに発病」と聞いて、「え?」って驚く方も多いのではないでしょうか。
何となくですが、「精神疾患」というと、仕事で疲れて、うつになって、悪化して……大人の病気だと思い込んでいる人も多いかも知れません。
しかし、公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)監修の「みんなねっとライブラリー」シリーズ(ペンコム・刊)を編集していると、10代での発症が多いことに気付かされます。
先の新聞記事で北岡祐子さんが、「『病院に行ったのは20代だけど、高校時代から幻聴があった』という人も少なくない。」とコメントしているとおりなのです。

例えば、ペンコムの最新刊『おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとうー精神障がいがある人の家族15の軌跡』(青木聖久・著)の第6話、「幼稚園教諭だった私が息子や仲間から勇気をもらい語り始める」では、充実した高校生活を送っていたはずの息子さんが発症したのは、高校生の時。

以下、『おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう』より抜粋します。

「いったい、何を怠けているの」

長男の聡さんは学業と学校祭を両立させながら、高校生らしい貴重な体験をしている。そのように岩永さんは思っていました。いや、自身に思いこませたかったのかもしれません。ところが二学期になると、聡さんが三日続けて登校していないと、担任から電話があったのです。それは、真面目な聡さんには考えられない出来事でした。聡さんは次第に学校に行かず、自分の部屋で寝ていることも増えるようになったのです。

「学業が大切な時期に、いったい何を怠けているの」

見かねた岩永さんは、聡さんに対して、初めて叱りました。しかし、聡さんは高校一年の三学期の始業式に学校に行くと、「周囲から自分が見られている」という視線を感じるようになったのです。加えて、食事をする度に、おなかが痛いと不調を訴えるようにもなりました。しかし、どこの病院に行っても原因は分かりませんでした。

そして、高校三年生になった時、初めて「統合失調症」の診断名が告げられました。聡さんが「違和感」を覚えていた原因が、やっと分かったのです。

この本で紹介されている実例は、どの家庭にも当てはまる、ごく普通のことだと感じていただけると思います。

さて、先の神戸新聞記事によると、「教科書では、予防や対処法を詳しく学ぶ」、とあります。
この取り組みは、大きな1歩。
ぜひ、本人および周囲の人たちの偏見が解消され、心の病に悩む人が減ることを願い、ペンコムとしても「みんなねっとライブラリー」シリーズを通じ、精神疾患への社会の理解を深めて行けるようがんばってまいります。

精神疾患は誰もがなりうる病気なのですから。

気分転換方法、ストレス解消法を、みんなで考えました

『仕事だいじょうぶの本−職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK』は、 就労・生活支援30年の著者が、コミュニケーションで「困った場面」→「対処方法」を実例で具体的に解説した本です。
これまでに就労移行支援事業所でメンバーのみなさんが、練習したすべて実例に基づいています。
職場だけでなく、これから就活にチャレンジする大学生・高校生などにも役立つ1冊です。
その本の中で掲載されている「気分転換方法、ストレス解消法を、みんなで考えました」(P117)をご紹介します。
参考になれば幸いです。