ユークリッドの互除法と最大公約数
$${n}$$を自然数とする。$${3}$$つの整数$${n^2+2,~n^4+2,~n^6+2}$$の最大公約数$${A_n}$$を求めよ。
(京都大)
【前提】$${2}$$つの自然数$${a,b}$$について、$${a}$$を$${b}$$で割ったときの余りを$${r}$$とすると、$${a}$$と$${b}$$の最大公約数は、$${b}$$と$${r}$$の最大公約数にしい。
[証明]$${a}$$と$${b}$$の最大公約数を$${(a,b)}$$と表し、$${g=(a,b),~~g'=(b,r)}$$とするとき、整数$${a',b',b'',r'}$$を用いれば
$$
a=ga'\\b=gb'\\b=g'b''\\r=g'r'\\a=bq+r\\r=a-bq=ga'-gb'q=g(a'-b'q)
$$
より$${g}$$は$${b}$$と$${r}$$の公約数であり、$${g\leqq{g'}}$$である。また、
$$
a=g'b''q+g'r'=g'(b''+r')
$$
より$${g'}$$は$${a}$$と$${b}$$の公約数であり、$${g'\leqq{g}}$$である。
以上より、$${g=g'}$$となり、$${(a,b)=(b,r)}$$である。[証明終]
【解答】
$$
n^4+2=(n^2+2)(n^2-2)+6\\n^6+2=(n^2+2)(n^4-2n^2+4)-6
$$
より、
①「$${n^2+2}$$と$${n^4+2}$$の最大公約数」は「$${n^2+2}$$と$${6}$$の最大公約数」に等しい。
②「$${n^2+2}$$と$${n^6+2}$$の最大公約数」は「$${n^2+2}$$と$${-6}$$の最大公約数」に等しい。
①②より直ちに「$${\{n^2+2,n^4+2,n^6+2\}}$$の最大公約数は$${\{n^2+2,6\}}$$の最大公約数に等しい」といえる。
以後$${6}$$を法として、
$$
0^2+2\equiv2\\(\pm1)^2+2\equiv3\\(\pm2)^2+2\equiv0\\3^2+2\equiv5
$$
よって、[答]:
$$
A_n=\begin{cases}~1~(n=6k+3のとき)\\~2~(n=6k+6のとき)\\~3~(n=6k+1,6k+5のとき)\\~6~(n=6k+2,6k+4のとき)\\\end{cases}(kは任意の非負の整数)
$$
【コメント】
文字式に対してもユークリッドの互除法が有効です。
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