
一読三嘆「風姿花伝」。
設定した「スキ」御礼機能が真面に働くか試したら自画自賛する結果に…取り消せないのかな。小恥ずかしい。
投稿直後にnoteから「読んだ本の感想を書きませんか?」と表示された。最近読んで思わず賛嘆の声漏らした本があるので誘いに乗ってみる。
世阿弥著「風姿花伝」。一子相伝として遺された能楽論書だ。長年秘蔵され明治終わり頃に漸く専門家に知られ万人に公開されたのは昭和に入ってからという秘伝書である。古典と敬遠するなかれ。頁も少なく比較的読み易い上に実に有用である。現代語訳でもよいから若者にこそ読んでみてほしい。驚くほど具体的且つ克明に芸事に当たる注意がなされており能以外にも充分転用できる。
「そもそも、上手にもわろき所あり。下手にも、よき所必ずあるものなり。(中略)いかなるをかしき為手なりとも、よき所ありと見ば、上手もこれを学ぶべし」(「風姿花伝」第三 問答条々 下 より※常用漢字で引用)などは現状把握を等閑に批判しがちな戒めとして胸に置いている。
余談だが入手した版の校訂者である野上豊一郎・西尾実の内、野上氏は三島由紀夫に「文章が下手」と言い放った小説家・野上弥生子の御夫君である。──「繋がり」とは面白い。