見出し画像

【サウナ】マルシンスパ【あくまで映画的に】

私は映画ファンだという自己認識を持ちつつも、
サウナ、ラーメン、海外旅行、異世界転生物アニメ、日向坂
と幅広く興味の矛先を向けておるわけです。

「あくまで映画的に」と題しておりますが、
映画以外のコンテンツについて、感想を書きたい!との衝動にかられた際には
感じたことを「あくまで映画的に」読み取ったというエクスキューズのなかでつづっていきたいと思います。

今回は、最近強化をしているサウナについての感想を書いていこうかと思う。


サウナの概要

『マルシンスパ』
東京都渋谷区笹塚1丁目58−6 マルシンビル 10階
午前10時 ~ 翌朝8時
平日ショートプラン(2時間)1800円~
温浴室1 冷浴室1 サウナ1

感想

年貢を納めた

マルシンスパは聖地的なサウナの1つ。
渋谷区は笹塚に身を置き、
新宿駅から京王線で数駅のところに立地する。
駅からは徒歩5分も必要ないくらい
甲州街道の真上を覆う首都高速道路沿いにそびえるビルの10階にサウナはある。

僕は映画もそうだけど、サービス精神のあるエンタメ性に満ち満ちたサウナが好き。
サウナの質よりも浴槽が変な形をしていたり、だだっ広くて不必要な設備にまみれたそんなサウナが好きなだけあって、郊外型のサウナばかりに魅了されている。

マルシンスパはおよそそんなサウナではない。
サウナも浴室も少なく、真のサウナーたちがこぞって訪れる。
僕はそんなサウナは苦手だった。
それに、そういうサウナに限って外気浴がなかったりすることも少なくない。
僕はサウナのなかでも特に外気浴に重きを置くタイプだ。
水風呂の水温が一桁だろうが、サウナの出力がすごかろうがそんなものよりも外気浴だ。
空気が浴室レベルまで湿ってなければそれだけでいいのだが、都市型サウナとなるとそんな要求すら高望みだったりする。

マルシンスパはサウナに重きを置く人材が行くサウナだという偏見があったからこれまで訪れてこなかった。
だが、これはもう外圧に負けたといっても過言ではない。
サウナーたるものマルシンスパの一つや二つ、行っていないと名乗れないぞという社会的な圧力に負けたのだ。
もちろん、だれもそんなことは言ってこないし、ぼくもそんなこたぁ気にも留めない。
だけど、「サウナ 東京」とchatGPTの時代には似つかわしくない検索ワードを検索窓に打ち込んでみると必ず上位にはマルシンスパが鎮座している。
年貢の納め時、そこそこいろんなサウナを回ったということもあり、マルシンスパに行くことにした。

実食

狭い狭いと聞いていたことも足を遠のかせていた一因だ。
ぼくはそれはそれは広い施設のほうが好きだ。
さっそく受付を済ませて、ロッカールームに進むと、ロッカーの少なさに狭さを痛感する。
自分の中でどんどん期待ができなくなっていくのを感じる。
ささっと館内着に着替え、浴室のある11階に階段で登っていく。
フェイスタオルが使い放題なのは助かるし、なんなら使い放題のフェイスタオルが結構大きいから100円かけてバスタオルを借りる必要はなかったかもなというちょっとした心理的瑕疵が自分をドンドン追い詰めていく。

浴槽への扉をくぐる。
最後までしっかり閉めてくださいという注意事項は貼られてあるものの
扉側の抵抗が今までに味わったことのないレベルのもので面食らう。
よくよく扉を見てみると、上方にアームのようなものがついており、
閉まり幅が調整されているようにもなっている。
そんなことはどうでもいい。

狭い

さんざん言われてたことだが、本当に狭い。
洗い場は4つほどしかなく、浴室にそのまま整い椅子が置かれている。
温浴室が1つと少し高いところに冷浴室が1つあった。

だが、入った瞬間にこれまでなネガティブな印象からは少しずつ転換していく。
浴室は冬にしてはかなり寒いが空気が澄んでいる。
それもそのはず、窓は開けられており、外気を取り込む通気口がいくつもある。
確かに冬場は寒さこそあるものの、この澄んだ空気感の浴室は心地が良い。
また、窓からちらっと覗き込む都会の情景も心を揺さぶるものだ。

肢体をそこそこに洗い、1つしかないサウナ室に早々に飛び込むことにした。
サウナ室は広いとは言えないものの、何とも言えない雰囲気を醸し出していた。
さながら純喫茶。
音楽がかかっているが、よくあるようなヒーリング音楽というよりもジャジィーだったりクラシカルだったりする曲がかかっており、独特な癒し感がある。
木目調の天井や壁だが、ニスというのか絶妙なテカリがあり、これもまた純喫茶の装いを感じさせる。

2段の椅子と平の椅子、さらに少し体を横たわらせることができる椅子がある。
窓は外気との直接の触れ合いがあり、温度を下げる要因にもなってしまう
この施設は窓も一つの特徴だ。
浴室も窓から見える風景に酔いしれたが、サウナ室にもそこそこの窓が設えてある。
といっても、はっきりと外が見えるタイプの窓ではないため、都会の雰囲気が感じられるという程度のものにはなっている。
窓のある施設と言えば、横浜のスカイスパなどが思い出される。
外をぼーっと眺めることができるというのはそれだけで大きな特徴足りえるのだ。

窓側の天井は斜めに切り取られているのも屋根裏部屋の隠れ家のような雰囲気を感じさせる。
全体的に社会からの逃避地としての純喫茶や屋根裏部屋の隠れ家感と都会のアジトという触れ込みに違わぬ施設だということを痛いほど感じる。

正直なところ、サウナ自体はそこまでのパワーを感じなかった。
温度は105度くらいを指しており、湿度は20パーセントほど?
かなり高温にも見えるが、その実そこまでの入っていてしんどいと思わせるものはなかった。
意外と弱いかな?とすら感じられるし、やはり窓側の壁沿いはそこそこ温度低下を感じる。
パワーも必要ならば、ヒーター側の2段目に座る必要はあるだろう。
一方で、ぼくはサウナ好きにもかかわらず、集中力の続かないせっかちさんということもあり、サウナに8分以上居座るのはそもそもしんどく感じてしまう。
にもかかわらず、このサウナは居心地の良さがあるのか比較的長時間座っていることができた。
この点からも、サウナの設定のちょうどよさが感じられる。
いつもは4分、6分、8分というセットの軌跡をたどることが多いが、
今回は10分、10分、10分と堪能することができた。
セルフロウリュウは素人でもプロが使うような長い鉄柄杓を使えるのもいい。

水風呂は井戸水を直接くみ上げている。
加水や加温は行っておらず、夏場は若干ぬるくなったりもするようだ。
また、水に色がついているがこれも井戸水をくみ上げている影響。
水自体は地下水らしい肌触りのよさがあった。

内気浴でも思ったよりも湿った空気の中で整う必要がなく、
窓から都会のビル群をぼんやりと眺めながらくつろげるのはなかなか乙であった。

とまあ、ここまで長々とサウナについて書き連ねてきたけれど、
ここまでは正直、前哨戦。
水風呂もサウナも内気浴も、ここまではそこそこといった感想。
どうしてここまでマルシンスパがもてはやされているのか、まだピンときていない。

だが、この施設はそんなちっぽけな要素によって人気を獲得しているのではないということをまざまざと突きつけられる。

それが、外気浴スペースだ。
そう、外気浴スペースはあるのだ。
都市型でビル群のなかにあって、施設自体もこじんまりとしている。
そんな施設に望んではいけないのが外気浴スペース。
あったらうれしいが、ないと思った方がいい。
だから、都市型施設は好きになれない。
だが、ここには外気浴スペースがあるのだ。
それも、他の追随を許さない特別な外気浴スペースが。

脱衣所にはもう1つ扉があり、その奥に外気浴スペースがあった。
この外気浴スペース、いわば非常階段のような外階段の一角に椅子が並べられているのだ。
隣のビルはマンションのようだが、マンションのベランダと外気浴スペースは相対している。
注意書きなどはなかったのでタオルだけで外に出たが、これが許されているのかという感慨もあった。
そして、そこに広がる眺望は都会の風景を映し出すものとしては別格といってもよいほどの迫力があった。

右手には首都高を走るルーレット族を真上から見下ろせる。
左手には京王線が通っている。
なにより、笹塚ではひときわ高いビルの上階に位置しており、左手の風景はかなり開けて見える。
東京の奥まで目を凝らすと繁華街であるビル群も見渡せる。

アジトと言っているが、ここまでくるとオアシスだ。
この眺望を見ると、一気に東京が相対化されてくる。
都会のビル群を客観視し、自分の立ち位置がはっきりと浮かび上がる。
東京に住んでいようが、いつの間にか旅で訪れた東京に見えてくる。
上京当時に感じた東京への高鳴り
この遥かなるビルの群生地には何が埋蔵されているのだろうかという発掘の喜び。
まさに、社会人にとっては仕事をするための苦痛ばかりの土地が色鮮やかに浮かび上がってくるのだ。

これを見るだけでも行く価値があるサウナだ。
東京を客観視するためのサウナに行ってみてほしい。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集