記憶の片隅-その57
俺が初めてYouTubeを見たのは、何年前だろうか。恐らく10年か11年前のことだ。ナントカ寿司で並んで待っていた時に父親にスマホを向けられ、そこにケロロ軍曹のアニメの無断転載(今では確実にアウト)が映っていたのを見たとき衝撃が走った。
それから父親のパソコンを借りてバイオレンスサザエさんやグルメレースのMADを見てゲラゲラ笑っていた。
キーボードクラッシャーが最初にDVDの山をなぎ倒すのを、別動画の度に親が丁寧に片付けて積み上げてるものだと信じ込んでいた。
友人に「青鬼」を実際にプレイしてクリアしたという何の意味もない嘘をついたこともあった。
小さい頃から学校に帰るなりパソコンをいじっていた根暗だったが、タイピングは高校2年生の頃に本格的に習うまで全くブラインドでできなかった。
「IKACHAN(イカちゃん)」というゲームのプレイング動画を見て感銘を受けた。初めてゲーム実況というものに触れた瞬間だった。幻想的な世界観と不思議な結末の迎え方が印象に残っていて、いつまでも記憶の片隅に漂っていた。
年に1回くらいふとそのイカちゃんというゲームのことをふと思い出すことはあったのだが、今日もまた思い出してYouTubeで調べてみた。
その動画は既に削除されてしまったようだが、別の人のプレイ動画を見て凄く懐かしい気持ちになった。
ただ、当時は3時間以上もあったような気がしたゲーム内容は、その人がものの30分で終了できるものだったことに驚いた。
記憶は都合よく美化されるものなんだなぁと思った。