雪の日に聴く歌
今年は関東でも雪が降りましたね。
空気の冷たさが一段階変わって、周りも少し静かになるような気がする。今年降るのは先日の一日だけなのかな?それでも、久しぶりの雪だったので色んなことを思い出すには十分すぎるくらいでした。
雪が降ると絶対に聴く歌が一曲あります。
フジファブリック - Stockholm
この曲が収録されたCHRONICLEがリリースした当時は2009年の春で、当時のフロントマンである志村正彦が亡くなった年でもあります。その冬。年を越してからかその前かは記憶が曖昧ですが、確か、東京近郊でも雪が降りましたよね。
当時の私は女子高生で、ブレザーで短いスカートに厚手の黒タイツ。指定でも何でもない使い古したスクールバッグを肩にかけて、塾の帰りの夜、バスを待っていました。その時に、こつこつお金を貯めてやっとこさ買った思い出のあるお気に入りのiPodから思い立って流したのがこの曲でした。
風に吹かれて街に降りしきる大粒の雪と、この曲の、まるで雪が降っている事象そのものなリズムと、必要最低限の歌詞。静かに、だけど切実に歌い上げる志村正彦の歌声。すべてが重なり合って、すごく美しい楽曲が、更に実感を伴って浮かび上がってきました。
私にとってこの曲は、ドキュメント映像で目にしたこのレコーディングがされたストックホルムでの景色と、寒いとか、不安だとか、悲しみだとか、痛みだとか、じんわりと曲が染み込んでくる安心だとかで、言い尽くせない色んな感情で立ち尽くしていたあの日のバス停がブワーッと蘇ってくる曲なのです。
私はフジファブリックが大好きで、一番好きなバンドと公言しておりましたので、亡くなったというニュースをなかなか消化しきれませんでした。好きなバンドのボーカルが亡くなるなんて、そんなピンポイントなことが普通起きるんか?と思いました。だって次のアルバムが出ることが、次のライブが、とにかく楽しみだった。考えてみりゃ、誰かが亡くなるってことは、大なり小なり、その人を一番に思う人がいて当然なんです。親にも友達にもめちゃくちゃ心配されたなそういや。今でも思い入れが強すぎて、うまく語れません。多感な時期にフジファブリックがいたおかげで、何とかやり通せた日もあったんです。
そういうことも考えながら、自分のことも重ねて、ぐるぐると想いを巡らせながら見た都会の雪景色は、それでもめちゃくちゃ綺麗だったなあと鮮やかに思い返せます。思い出補正も入ってるかもしれないけど。
雪の日に必ずこの曲を聴いて、思い出す記憶があるということ。あの日、自分が捨てたくないと思った自分がまだ在ることに安心すると共に、きっとこの曲がある限り、変わらないでいられると思うのです。