知らないと「損する」ではなく「バカを見る」
肌の色はさておき、国民が殺害された。
黒人の容疑者に対して、過剰な拘束を試みて、容疑者が死亡した。
そのことに抗議するデモが、アメリカ各地で起こっている。
このことに対して、日本でデモを起こした人がいた。
その反論について、居心地の悪い現象が起こっている。
・日本に黒人差別がないのに、何も考えないで、リベラルを気取って黒人差別を批判するのは、軽薄だし、自己陶酔に過ぎないという意見。
これが一番きつい。
要は考えているようで、何も考えていないし、行動を揶揄しているだけなのだ。
つまり、アメリカを支配しているのはアングロサクソン人たち白人。彼らを抗議すべきでないという、いつしか我が国の文化となった「忖度」をしているだけ。
・黒人容疑者が、半ばリンチのように殺されているというニュースは、何も新しいものではない。今更、急に変わらないのに、当事者でない日本人が騒ぐべきではない。
これもきつい。
北朝鮮でどれだけの国民が餓死していようが、香港で民主化が袋小路に追い詰められようが、日本の利害には関係ないというのだ。
では、中国への開発援助も、ロシアへのバイプライン開発構想も、ぶんどられたくせに、何も言わないのは、どういうことか?
「人道的な見地より、ビジネスを優先した」という、よく言われる偽悪なリアルにすら、立てていない。
同盟国だろうが、敵対国であろうが、非人道的なことに対して批判するのは、民主主義国家云々する前に、人間としてまともかどうかの問題ではないか。
他人が死んでいようが、自分の財布と関係ないから、知らないというのでは、博愛主義と関係なく、経済大国ではなく、ただの守銭奴の寄せ集め国家でしかないことを表明しているではないか。
かつて第二次世界大戦前に、ハワイに移住した日系人たちは逮捕され、財産は没収された。なぜか? 同じ肌の色をした帝国海軍が真珠湾を攻撃したからだ。
現代は、安保条約によって同盟関係があると思っているが、彼らアメリカ白人が突然日本人だけは差別しないと思っているのだとしたら、そこだけリアルさが抜けているといえるのではないか。
冷静に考えれば分かる。
彼らアメリカ白人のお情けにすがろうとするのではなく、対等に権利を主張している黒人たちを、我々がどうして揶揄することができるのだ。
問題を知ること
拝金趣味(主義ですらない)の人の立場に立ってみよう。
今や5Gの技術を引っさげて、次世代のサービスを提供してようとしている中国に便乗しないのは健忘症である。ましてや、対立しようとしているアメリカは、資本主義のリーダーとは言えない。
儲けさえすればいいのだ。
中国に敵対すれば、間違いなく損をする。だから、香港市民がどれだけ死のうが、経済力を前に無視しないといけない。
逆に道徳的に見てみよう。
アメリカは一枚岩ではない。この間まで、黒人が大統領だったのだ。
ところが白人警官による殺人事件など、過去に何度も起こっている。
では、何が原因なのか。銃なのか。治安の悪さなのか。差別主義なのか。
結局のところ、現地にいない者は分からない。
しかしデモが全て暴徒化している訳ではない。
警官の暴力に対して、歌とダンスで行進するという非暴力的なデモが多数を占めてはじめている。全然ショッキングではなく、テレビ映えしないが、起こっている事実である。
つまりアメリカ人自身も、うんざりしている。
ダミ声の、無理解な大統領がいかにメキシコ人についで、黒人を批判しようが、アメリカ全体が白人警官のマッチョにドン引きしているのだ。
リアルではなく、ショッキングをくれくれ
ビジネス情報を売りにしている媒体だと、しばしば、情報が経済的な価値を生むというファンタジーに紐づけられる。
残念だが、そうしたアイデアは古過ぎて、八十年代のソニーのようにアメリカ企業を買収していた頃の話にすぎない。
では、何のために知る必要があるのか。
それはすでに提示したように、いろいろな可能性や方向性を知ることである。
では、何のために様々な可能性や方向性を知る必要があるのか。
何のことはない。
他人に担がれないようにすべきだからだ。
アメリカでは黒人差別が起こり、それに対していつもの暴動が起こっている、というそれだけの情報しか得られていない人にとって、アメリカ白人だけが合衆国を支配していると思ってしまうだろう。差別に対して、当事者のアメリカ自身も、容認しているという、間違った結論を自得してしまう。
しかし実際のアメリカ大統領は十二月にこういうのだ。
Happy hollyidays!
我が国が文明開化して以来、大のお気に入り「メリークリスマス」ではないのだ。
なぜか?
クリスマスはクリスチャンの祭りであり、ユダヤ教のお祭りハヌカー、アフリカ系のお祭りクワンザと関係ないからだ。
もし大統領がメリークリスマスというと、ユダヤ教徒や黒人たちから、
(こいつ、俺たちの生活と関係ないことしかしねぇな)
と見限られるのだ。
アメリカに住んだこともないし、旅行で行ったこともないが、そうした多様性や価値観について、なんでもこいな姿勢であることが、逆に彼らのアイデンティティなのだと分かる。
なぜなら、その対極にあるのは、選民思想であったり、ナチズムのような、非科学的な邪教であるからだ。
そうしたことを知っておけば、いかに保守的な大統領がいようが、アングロサクソン人が世界を支配しているなどという発想にはならない。そもそも、アングロサクソン人の代表が彼だと、アングロサクソン人たち自身が決めたのか? 黒人も、メキシコ系も、アジア系の有権者も、それを決めたのか? 違う。彼はあくまで、アメリカ合衆国大統領でしかないのだ。
情報は知らないといけないのは理由がある
ユダヤ人が情報を巧妙に操作し、世界を支配しようとしているという設定が前世紀には存在した。
それに便乗して、ついには戦争にまで焚きつけた、ちょび髭の男がいる。
同様に、日本にも存在した大義名分があった。
日本人は南方から渡ってきたのに、東南アジアの人々は欧米人に不当に搾取されており、彼ら兄弟を助けないといけないという設定だ。資源のなく、南方に向かうしかない大日本帝国にとって、こんな素晴らしいファンタジーはなかった。
情報を知らないといけないとは、このことである。
ユダヤ人が本当に、世界を支配しようとしているのか。
東南アジア人の自主独立は言論をもって支援すべきではないのか。
断食をすることで、自分の暮らしがいかに多くの人に支えられているかと反省しているイスラム教徒が、異教徒にだけは平気でテロを行うのか。
アメリカ白人だけがどうして、世界を支配したがっているのか。こういっては何だが、この暴動のように、アメリカ一国すら、完全に支配できていないのに。
起こっていることを、いくつか客観的に、複眼的にみようと努めるだけで、一人の扇動者には騙されないのだ。
それこそが、民主主義という面倒くさいシステムに不可欠なものなのだ。
ユダヤ資本から、世界を守ると称して、世界を地獄に突き落とした男に、決して担がれてはならない。
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