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K~10th ANNIVERSARY PROJECT~
2022年12月1日 12:00
第10話「激突」著:鈴木鈴 夜風が周防の頬を撫でていった。 ゴルフ場には人影はなく、それどころか照明のひとつも点いていなかった。冴えた月明かりだけを灯りとして、周防は歩く。森を抜け、フェアウェイを通り過ぎて、バンカーに囲まれたグリーンへとたどり着く。 先ほどまでの喧噪が嘘のような、静寂の空間。 だが、それが長くは持たないことを、周防は知っていた。 はるか遠くから、連続したローター音