見出し画像

絵本『だれでものいえへ』ongoing project vol.15

作画の下書きを作る

絵本各ページのの大まかな画面構成が決まったので、ここからは本描きのための下絵を作ります。
今回は緻密な画面を作りたいので、原画は実際の絵本サイズの1.2倍で描くことにします。
何倍で描くかは、画家の作風や掲載媒体によります。
ちなみに文芸誌で挿絵をしていた時は、1倍(つまり原画の大きさ=掲載サイズ)で描いていました。

絵本仕上がりサイズの1.2倍の下描きが十分に入る大きさ
文字の位置も測りやすい

下描きには、わたしの場合こちらSAKAEの方眼紙を使います。

扉の下描き

扉の下描き

扉絵の文字入り下描きを作って、ここでタッチ見本を作っておきました。

ページ01

おばけが家を出発するシーンです。
木を、どう描こうか悩んでいました。1本なら成立するけど林立するとどう見えるのか、、型紙を作って描いてみます。

ページ02

おばけが海の町に来るシーンです。
灯台を町の中心に描きたい新井と、灯台は町のはずれにあるのが本当の姿だと言う編集者土井さん。
両方の見え方を描いてみます。

ページ03

おばけがおばけに出会うシーン。
この絵本で唯一のアップのシーンになります。
どう見えるのかな、、。

ページ04

海の町を通り過ぎて次の町へ。
遠くに海の町が見えるように描きます。

ページ05


おばけがたくさん出てくるシーン。
50匹登場させたいので、50匹が窓から見えています。
が。
土井さんが「そんなにこだわらなくて良いのでは」とアドバイスをくれました。

ページ06

おばけが大行列するシーンです。
おばけの向こうの町が、どう見えてくるのかな、、、。

ページ07

おばけが『こども食堂』に辿り着きます。
お腹が空いて少ししぼんでいるおばけのこどもたち。
おばけが『しぼむ』ことについては、編集者土井さんとPineの浜園さんとも協議しました。
おばけが変化しているのは絵としては面白いけれど、お腹が空いて『しぼむ』って、悲しい表現でもあるじゃないですか。
結果「あとで『ふくらむ』ことがもっと嬉しいから、しぼむ表現で行こう」と、なりました。
あと、なんだかしぼんだおばけの群衆が虫みたいで気持ち悪く見えないかしらと心配していると土井さんが
「気持ちわるくならないように描くんだよ」とのこと。
そうね。

ページ08


おばけが『こども食堂』で食事をするシーンです。
以前のラフで真上からの食事シーンを描いていたのを、土井さんからいただいた『横からの視線で』というアドバイスで描き直しています。
しかし、この作画にも土井さんから更なる指摘が。
「こどもたちが整然と座っているのはコンセプトに合わない。管理されているように見える」
たしかに。
描き直します。

にぎやかな食事シーンになりました。

ページ10

おばけが『こども食堂』から帰るシーンです。
全ての町に『こども食堂』があることがわかる場面でもあります。
作画としては、全ての町を合体させるのが難しい、、、、。
町を縮小コピーして、ああでもないこうでもないと悩みます。

悩んだ末に出来上がったのが、こちらの下描きです。
描いては消して描いては消して。
消しゴムが見るみるうちに小さくなりました。

土井さんから下描きにいただいた指摘を受けて、次からとうとう本描きに入ります。
つづく
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2024/10/17
ペレカスブック新井由木子
記事の制作公開は、編集者土井章史さん、クライアントこども応援ネットワークPineさんのご了解をいただいています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


リアタイでは原画のブラッシュアップ中
原画が大事すぎて寝るときにはカルトンバッグに原画をしまっています
何かあったときに見つけてもらえるように、、、

記事:ペレカスブック店主イラストレーター・デザイナー:新井由木子
ペレカスブックは埼玉県草加市の小さな書店。
実店舗は2023年5月にクローズ。新店舗を持てるように奮闘中です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いいなと思ったら応援しよう!