重量物持ち上げ動作 〜加齢による椎間板への影響〜
皆さん、お疲れ様です。
北海道千歳市で理学療法士をしている澤野です。
新年明けましておめでとうございます。
ご無沙汰しております。
前回から少し期間が空いてしまいましたが、また再開していきます。
本日は、重量物持ち上げ動作の加齢による椎間板への影響についてです。
今回ご紹介するのは重量物持ち上げ動作において年齢による筋力低下が下部腰椎(L5/S1)椎間板圧縮力に与える影響をデジタル人体モデルを用いて椎間板圧縮力を推定して評価した報告です。
1.加齢が持ち上げ動作時の椎間板へ与える影響
男性モデルでは40代と60代のL5/S1椎間板圧縮力が20代と比較して高くなっています。
女性モデルでは60代、40代、20代の順でL5/S1椎間板圧縮力が高くなったという結果です。
2.年齢別の持ち上げ動作時の全身筋活動
足から把持位置までの距離を45㎝、地面から把持位置までの距離を40㎝、重さを10kgとした女性モデルの年齢別の持ち上げ動作時の全身筋活動を示したものです。
上記から、上肢の筋(三角筋)は年齢とともに増加し、体幹の筋(脊柱起立筋と多裂筋)は20代と比較して40代、60代で増加しています。一方で、下肢の筋(大腿二頭筋と腓腹筋)は年齢の増加に伴い減少しています。
以上より、重量物持ち上げ動作では加齢により腰椎椎間板圧縮力が増加します。これは下肢の筋力が加齢に伴い減少するのを補うために上肢・体幹の筋活動が増加したことが影響していると考えられます。(体幹の筋活動が増加すると椎間板圧縮力は増加します。)
茅原 2019 , 日本機械学会論文集
今回の報告から、重量物持ち上げ動作では加齢に伴い椎間板圧縮力が増加してしまうため、年齢を考慮して荷物までの距離や重量を考えた作業管理や環境環境を行うことが腰痛予防の一助になるのではないかと考えられます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。