![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/66876850/rectangle_large_type_2_01f311e54a28c2b34c7821c618036ebf.png?width=1200)
労働者の腰痛や肩こりを予防する意義について
皆さんお疲れ様です。
北海道千歳市の病院で理学療法士をしています。澤野純平です。
本日は 労働者の腰痛や肩こりを予防する意義について 書きます。
本邦において、病気による労働生産性(労働者が生み出す成果を数値化したもの)の低下による年間損失額は3兆3,600億円とされ、そのうち痛みによる損失額は3,700億円と言われています。
在日米国商工会議所(ACCJ) 2011 , 疾病の予防、早期発見および経済的負担に関する意識調査報告書
そのため、痛みの発症や長期化は労働者個人のみでなく、社会的にも大きな問題をもたらすことから、痛みの予防が大事と考えます。
1.日本人に多い身体症状
まずは、日本人に多い身体症状について見てみましょう。
厚生労働省 2019 , 国民生活基礎調査
これは、厚生労働省の国民生活基礎調査の結果です。男性では腰痛が1位、肩こりが2位、女性では肩こりが1位、腰痛が2位です。国民の最も多い身体症状としては腰痛と肩こりが何年も変わらず上位を占めています。
2.職種・業種別の腰痛・肩こり有訴率の割合
次に職種・業種別の腰痛・肩こり有訴率の割合です。
1)厚生労働省 2018 , 業務上疾病発生状況等調査
2)日本整形外科学会・日本腰痛学会 2019 , 腰痛診療ガイドライン 改訂第2版
まず腰痛です。報告によって様々ですが、医療介護従事者である保健衛生業や運輸業、製造業に腰痛有訴者は多いとされいます。これは、人や物を持ち上げる動作が多いことが関連していると言われています。
高野 2014 , 日職災医誌
一方で、肩こりは事務系の職種で多いとされています。これは、長時間の座っている姿勢やパソコン業務との関連が報告されています。
以上より、職種・業種により訴える症状が異なるため、職種・業種別に予防対策を考えていかなければいけないと考えます。
3.腰痛や肩こりは仕事の生産性を低下させる
最後に腰痛や肩こりが仕事の生産性(労働者が生み出す成果を数値化したもの)を低下(出勤しているが、労働生産性が低下した状態:プレゼンティーイズム)させることについてです。
Fujii T 2013 , Eur Spine J
労働者の腰痛に関してですが、83%の労働者が一度は腰痛を有したことがあり、そのうち59%は腰痛を有しながら就労を継続しているという結果が報告されています。これは、腰痛がありながらも仕事を継続していることになり、本来出せるパフォーマンスを腰痛によって最大限の仕事を行えていない(出勤しているが、労働生産性が低下した状態:プレゼンティーイズム)ということにつながります。
Nagata T 2018 , J Occup Environ Med
労働生産性を低下させる症状として、肩こり・頚部痛が1位(労働者1人当たり年間約46,000円の損失)、腰痛が3位(労働者1人当たり年間約28,000円の損失)と報告されています。そのため、肩こりや腰痛を解決することは労働者本人も企業の生産性向上にもつながる重要なことです。
以上より、腰痛や肩こりは日常生活だけでなく、仕事における生産性にも影響します。そのため、より長く、健康で最大限のパフォーマンスで仕事に打ち込むためには腰痛や肩こりの予防をしていくことがとても重要と考えます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。