腰痛予防のための重量物持ち上げ動作 〜不安定な足場ではどうなるのか?〜
皆さん、お疲れ様です。
北海道で理学療法士をしています、澤野です。
さて、今までは腰痛予防のための重量物持ち上げ動作について、作業方法や重量の面からお話ししてきました。
今回からは少し、作業環境管理に目を向けてお話ししていきたいと思います。
そこで、今回は不安定な床面の持ち上げ動作は腰の筋肉(脊柱起立筋)にどう影響するのか? という内容です。
上記のように低反発マット上(模擬的に不安定な床面を再現した状態)で持ち上げした群と通常の床面で持ち上げ動作を行った群の脊柱起立筋の筋活動を比較したものです。
1.床面の違いによる脊柱起立筋の筋活動
床面の違いによる脊柱起立筋の筋活動は、不安定な床面での持ち上げ動作の方が、腰への負担が大きいという結果となっています。
不安定な床面のため、身体の平衡を維持するために適した姿勢を取ることができないことや、持ち上げ動作で膝を伸ばす筋肉を活用できないことが腰への負担を大きくさせた要因ではないかと推察されています。
2.脊柱起立筋筋活動の経時的変化
荷物が床から離れた瞬間を0%、持ち上げて体が一直線になった瞬間を100%とし、その間を4つの相に分けたときの脊柱起立筋の筋活動を経時的に追っているものです。
この結果をみると、第1相、第2相で不安定な床面での持ち上げ動作の方が脊柱起立筋の筋活動が高い結果になっています。これは、持ち上げ動作の開始直後や持ち上げ初期の相になります。
今回の報告では、膝の筋肉がどれくらい活動しているのかはわかりませんが、やはり不安定な床面の場合では、平衡を保つため持ち上げる際に膝にうまく力が入らず腰への負担が増大してしまうのでしょうか。
以上、持ち上げ動作では方法や重量のみならず、環境調整も重要だということを示唆している報告です。
皆さんの職場の環境はいかがでしょう?
最後まで読んで頂きありがとうございます。