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最近の記事

『ボーイズ・ステイト』監督:ジェシー・モス、アマンダ・マクベイン

'Boys State' dir. by Amanda McBaine, Jesse Moss, 2020 「ボーイズ・ステイト」「ガールズ・ステイト」というのはアメリカ合衆国において米国在郷軍人会が主催して行われる、高校生を対象とした州単位の夏季プログラムで、男女別に短期合宿で政治的なリーダーシップやシチズンシップを学ぶのだという。2020年のサンダンス映画祭でUSドキュメンタリー・コンペティション部門グランプリを獲得したこの『ボーイズ・ステイト』は2018年にテキサス州

    • 『フランクおじさん』監督:アラン・ボール

      'Uncle Frank' dir. by Alan Ball, 2020  アラン・ボール脚本・監督のAmazonオリジナル映画で、とにかく素晴らしかったのですがとりわけ、ノスタルジアに現代性を潜ませる、という点でずば抜けてました。自分の血縁に自分の事を受け入れてほしい、と願う気持ちが――多少なりとも――残っている性的少数者にとって不意打ちのギフトになってしまうような作品、とでも言いますか。  観終わった自分が真っ先に連想したのはアン・リーが1993年に発表した『ウェディ

        • 『コンフィデンスマンJP プリンセス編』監督:田中亮

          'The Confidence Man JP: Princess' dir. by Ryo Tanaka, 2020  6本観たらもらえる無料チケットの期限が今日で終わるのでしたが、緊急事態宣言解除後に初めて映画館で観る映画…などと無意味な思い入れを込めて劇場のラインナップを確認したところマジで観たいもんがなく、消去法に消去法を重ねて選んだのが『コンフィデンスマンJP プリンセス編』、例えこれが何から何までどうにかした作品であっても「東出昌大はおもしろいなあ!」とか、からあ

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          『バッドボーイズ』+『バッドボーイズ2バッド』監督:マイケル・ベイ

          'Bad Boys' dir. by Michael Bay, 1995 'Bad Boys II' dir. by Michael Bay, 2003 こんな時期ででも無ければ観なかったと思うこのシリーズ、今年劇場公開された17年ぶりの新作も結局観なかったので第一作から順番に。決してつまらなくはないものの途中でいくつも「長え…」と思ってしまった箇所があり、それはカーチェイスの部分だったり主演2人(マーティン・ローレンス&ウィル・スミス)の会話だったりするのですが、もしかし

          『バッドボーイズ』+『バッドボーイズ2バッド』監督:マイケル・ベイ

          『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』監督:ジョン・マルーフ &チャーリー・シスケル

          'Finding Vivian Maier' dir. by John Maloof & Charlie Siskel, 2013  原題は「ヴィヴィアン・マイヤーを見つける」という感じの意味になるんだと思いますが、米国でナニー、要は家政婦兼子守として働いていた無名の女性ヴィヴィアン・マイヤー(1926-2009)が生前撮りためていた膨大な写真群が、たまたまネガの一部を入手した青年(この映画の共同監督でもあるジョン・マルーフ)によって「発見」され、インターネットを通じて世界

          『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』監督:ジョン・マルーフ &チャーリー・シスケル

          『黒い司法 0%からの奇跡』監督:デスティン・ダニエル・クレットン

          'Just Mercy' dir. by Destin Daniel Cretton, 2019 「『あなたはなんにも泣く必要なんかない。私はただあなたがちょっとだけ寄りかかれるように胸を貸そうと思っただけ。私はほら、”石をキャッチすること” について多少はわかっているから。』」p. 407 ―『黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う』ブライアン・スティーヴンソン:著、宮﨑真紀:訳(Bryan Stevenson 'Just Mercy' 2014)  『ブラック

          『黒い司法 0%からの奇跡』監督:デスティン・ダニエル・クレットン

          アメリカン航空の特典旅行(2019.11)

          アメリカン航空のマイレージを使い、日本国内往復(JALの)航空券を取ることにした。 ・https://www.americanairlines.jp/ でAAdvantageアカウントでログインしてから>再度AAdvantage特典旅行のページに飛び、そこからは日程と発着地及び人数(アメリカン航空は家族ではない同行者のチケットも一緒に取れる)を入れて検索、複数出てきた候補の中から希望時間帯の便を往復ともに指定して先へ進む。ログインしたアカウントの旅行者情報は入っているので同行

          アメリカン航空の特典旅行(2019.11)

          ベルリンポルノ映画祭リポートⅡ:2019

           3年前に自分はベルリンポルノ映画祭について下記リンク記事を書いたのでしたが、habakari-cinema+records制作の映画『伯林漂流』がベルリンの老舗映画館「Xenon Kino」で上映されるのにあわせて今年も行ってきた。 果たして、ポルノを恐れているのは誰なのか。 ─ベルリンポルノ映画祭リポート:2016  今回Ⅰ年ぶりに会ったスタッフのうち、古参の中心メンバーだったマヌエラ・ケイが外れていると本人から聞いたので、急遽ではあるがインタヴューに応じてもらった。

          ベルリンポルノ映画祭リポートⅡ:2019

          『最強のふたり』(新・旧)

          'Intouchables' dir. by Olivier Nakache & Éric Toledano, 2011 'The Upside' dir. by Neil Burger, 2017 理由はよく判らないもののアマゾンプライムで500円分レンタルできます券が来ていたので呼ばれるようにまずは古い方の『最強のふたり』を観て、したら今度はアマゾンプライム無料体験を申し込むと1000円分レンタルできますクーポンをそのうちあげます、という表示が出てきて2日ほど悩んでから

          『最強のふたり』(新・旧)

          'Jonathan Agassi Saved My Life'

          'Jonathan Agassi Saved My Life' dir. by Tomer Heymann, 2018  米国、ニューヨークが本拠地のゲイポルノビデオメーカー「Lucas Entertainment」でスターだったジョナサン・アガシのドキュメンタリー。今年3月のロンドンLGBTQ映画祭における上映に際してattitudeに掲載されたインタヴューによると、この映画は「今から4〜5年前の出来事で終わっている」とのことなので2014〜2015年頃に撮影終了したこと

          'Jonathan Agassi Saved My Life'

          ブレイディみかこ『女たちのテロル』+『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』2019

           2005年発表の短い記事に未だに拘っているのもどうかとは思いますが、自分はブレイディみかこさんにずっと訊きたかった事があった。ちょっと前に運良くお話しする機会があったので「ヨーコ・オノ、矢野顕子、ビョーク、のあの系統だけはわたしにはようわからん。」てのはやっぱ今でもそうですか?と訊いたところ、それへのお答えは当時書かれていた通りの「『少女』か『母親』の要素しかなくって、その間の『女』の要素がない。」というものだったので、ひとまず判ったのは自分は矢野顕子もビョークも音楽家とし

          ブレイディみかこ『女たちのテロル』+『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』2019

          『クセニア』監督:パノス・H・コートラス(2014)

          "Xenia(Ξενία)" by Panos H. Koutras, 2014 「君が生まれたとき、クセニアという名前をぜひつけようと思った。このギリシャ語の語源は『クセノス』で、他人とか異邦人という意味だ。『他人への優しさ』とも訳される。この名前が気に入ったのは、国家や社会は、よそ者の目で見るほうがその本当の姿がよくわかると私が思ってきたからだ。」ヤニス・バルファキス:著/関美和:訳『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。(Yanis V

          『クセニア』監督:パノス・H・コートラス(2014)

          『ソヴァージュ』監督:カミーユ・ヴィダル=ナケ(2018)

          'Sauvage' dir. by Camille Vidal-Naquet, 2018 この映画の舞台はストラスブール、とどっかで見かけたような気がするのですがストラスブールってどこだっけ、と確認したらフランス―ドイツ国境の町か、パリよりフランクフルトとかチューリッヒの方が近いとこだ。 22歳のレオ(フェリックス・マリトー)は路上生活をしつつ立ちんぼをして男性相手にセックスを売って日銭を稼いでいるが、売春エリアの男たちには不文律があり(この行為はXユーロ以下で提供しては

          『ソヴァージュ』監督:カミーユ・ヴィダル=ナケ(2018)

          ダグマー・ヘルツォーク著(2005)・川越修/田野大輔/荻野美穂 訳(2012)『セックスとナチズムの記憶 20世紀ドイツにおける性の政治化』

          Dagmar Herzog 'Sex After Fascism' 「戦争直後の保守的なキリスト教関係の史料のなかで、カトリックとプロテスタントのいずれもがナチズムを徹底的に淫乱なものとして描き、ナチズムの性的不道徳さ――性道徳の分野におけるタブー破り――とジェノサイドとの間に因果関係があると主張していることに、私は驚かされた。彼らはナチズム後の最も緊急の課題として、性的純潔への回帰と家族的価値の復権を求めていた。けれども一九六〇年代から七〇年代に『戦争ではなく、愛を』と呼

          ダグマー・ヘルツォーク著(2005)・川越修/田野大輔/荻野美穂 訳(2012)『セックスとナチズムの記憶 20世紀ドイツにおける性の政治化』

          "Come out to show them"

           記録していたわけではないので逆算して推測するほかないのですが恐らく1995年後半〜1996年前半のこと。当時の自分は神奈川県厚木市に校舎があった大学に通っていて、大学に求人が来ていた短期のアルバイトを断続的にやっておりました。そのうちの一つがリーバイストラウスジャパン平塚流通センターという、Levi'sの商品を集積して日本各地の店舗からの注文に応じて仕分けして出荷するところに短期間行っていたことがありました(今でもあるのかなあ、調べてもよく判らない)。平塚と言っても厚木市と

          "Come out to show them"