Deep Collaboration 〜次世代のチームワークと、これからのソフトウェアのあり方〜
みなさん、こんにちは!近年、在宅ワークが一般的になり、コミュニケーションのあり方が変化してきています。今回は、そんな中で注目されている「Deep Collaboration」について書きます。
Deep Collaborationとは何か?
Deep Collaborationは、「迅速かつ高品質な成果物を出せるように、チームでスムーズな共同作業を行えるソフトウェア」のことで、最近出てきたソフトウェアのカテゴリを指しています。
日本でもALL STAR SAAS FUNDの湊さんがブログでも書かれていましたね。
このカテゴリは新しく、少しわかりにくいので、このカテゴリで最も有名な、 デザインツールFigmaを例に説明します。
とは言いつつ、Figmaを紹介する前に、まずはDeep Collaborationではない従来のデザインツールはどんなものなのかを紹介します。例えば、デザインツール大手AdobeのIllustratorやPhotoshopなどのツールで、デザイナのためのデザイン専門のツールです。これらはデザイナが「個」でデザインを作成する設計で開発されています。
一方、Deep CollaborationであるFigmaはデザイナのみが使うツールではなく、エンジニアやマーケターも使いやすく設計されています。現にユーザー全体の65%がエンジニアや、マーケターなどの非デザイナです。Figmaはデザイナツールであるものの、デザイナ用の機能に留まらず、非デザイナを含めた「チーム全体」でのコラボレーションをする前提で開発されています。これにより、デザイナの成果物に対して、非デザイナから、迅速かつ正確なフィードバックが集まり、早く高品質なアウトプットサイクルが回るようになります。そして、この働き方が、デザイン業界においてスタンダードになっています。
なぜDeep Collaborationが注目されているのか?Figmaがデザイン業界の新常識へ
リモートワークの増加に伴い、会話などの対面でのコミュニケーションが難しくなったため、オンライン上で円滑なコラボレーションが必要となり、注目されるようになりました。
ただ、決定的にDeep Collaboration が脚光を浴びるきっかけとなったのは、Adobe がFigma を 2.7 兆円(20B ドル)で買収したことです。今回の大型買収は、「Adobeが新時代のチームコラボレーションに対応するため」が目的だと考えて良いと思います。言い方を変えると、Adobeは、「デザイナがデザインを作成するための専門ソフトウェア」という個別最適な考え方から、「早くて、高品質なデザインをチームで作成する」という新しい常識にベットしたと考えて良いでしょう。
(上記は2023年7月に更新しましたが、2023年12月にAdobeはFigma買収を断念したと発表ました)
この流れは、リーガル業界にも。Deep Collaborationを実現する契約書管理クラウドサービスHubble
この流れは、デザイン業界だけでなく、リーガル業界も同じことが言え、特に契約業務には、Deep Collaborationの考え方が適用できます。私たちが開発する契約書管理クラウドサービスHubbleも、2万人のユーザーのうち、法務や弁護士などの専門家が1,000人で、残りはエンジニアや事業部門の方々です。この比率に意外だと思われた方もいらっしゃると思いますが、契約業務は事業部門が取引を進めるための仕事であるため、このユーザー構成は理解できます。
サービスの概要は以下動画でもご覧いただけます。プレゼンの中でDeep Collaborationという言葉は使っていないものの、契約業務 × Deep Collaborationの可能性を示した内容になっています。
契約業務は、リスクの制御と事業推進のバランスをとりながら、仕事を迅速に進める必要があります。そのためには、情報共有やコラボレーションをしやすい環境が重要で、ソフトウェアがその基盤になります。Hubbleは、法務や弁護士、事業部門の利害関係者が、共通の情報に基づいて物事を進めることができる環境を提供しています。これにより、認識の差が生じづらく、スムーズで効率的なコラボレーションが実現できます。
例えば、Hubbleには、以下のような特徴があります。
法務、事業部門に関わらず、同じHubbleの環境にアクセスし、同じ画面(ドラフト)を見ながらコミュニケーションが取れるため認識を合わせやすい
バージョン(履歴)管理機能で、最新版が明確になるだけでなく、過去の変更の経緯や進捗状況もわかるため、迅速、かつ正確に契約業務を進められる
事業部門の情報(相手方との交渉内容や関係性)を契約書に反映させるため、事業部門にとっても使いやすいシンプルな、システム設計である
Hubbleの継続率が驚異の99.9%を誇っているのも、Deep Collaborationの実現が大きく貢献しているからだと考えています。継続率だけでなく、バージョン生成数やコメント数の総数や増え方からも、活発にコラボレーションが進んでいることがわかります。
Deep Collaborationはこれからのプロダクト開発のカギになる
Deep Collaborationは、これからも多くの業界や分野で広がりを見せるでしょう。デザイン業界や契約業務の例を挙げましたが、他にも開発、マーケティング、セールスなど、多岐にわたる業務において、異なる専門家やチーム間の協力を円滑に進めることが求められています。
実際にSalesforceがSlackを買収したことでSalesforce内でDeep Collaborationが実現する世界も近いと思いますし、それが狙いだと思います。
ミライの仕事は、専門家が閉じて専門知識を使って仕事するのではなく、共通認識を持ちながら、多角的なフィードバックを相互に送りながら、「チーム」で早く、高品質な成果物を求められます。
ソフトウェアが働き方の基盤となる時代。
異なる専門分野のチームが連携して効率的に協力できる環境は今後ソフトウェアに求められるようになり、Deep Collaborationはこプロダクト開発の大きなテーマとなるでしょう。
我々Hubbleもこの不可逆な世界の流れを掴んで、より滑らかな契約業務の実現を、プロダクトを通して実現していきたいと思います。