ダブチコーラポテトエルエル
「マクドいこ」
「いこいこ」
駅の横にあるマックへ僕らはだらだらと歩きながら
他の同級生たちは逆行していそいそと午後の授業へと向かう。
あの日も晴れてた。空がまぶしくて
暑かった記憶。
今でも
マクドに行くとおれはダブチしか食べない。
理由がある。
彼はダブチ以外認めなかった。
ダブチコーラポテトエルエル
呪文のようにそればかり
当時のおれは他のメニューも食べてた気がするが、彼の勧めでダブチにはまって以来ダブチ一択になった。
914
亡き友の誕生日
こんなことをしても仕方ないのもわかっているけれど
代わりに食べてやるわ、みたいな、記憶を思い返したい気持ちと、
そっちに差し入れするから一緒食べよかーみたいな気持ちで食べる
どれだけ時間が経とうが
変わらん。
変わらずに大事にしたいと思う人がいる。
そこにいるかどうかは関係ない。
思いがあることだけが真実で、誰に証明するようなことでもない。
伝わる伝わらないは関係ない。
自分がそう思って生きている。
それだけでよいと思える。
ただ
欲を言うなら
あともうちょっと色々話して呑んでからんで文句言って
じじいになって嫌なことも言い合いたかったなあなんて
気持ちもある。
とにかく優しいやつだった。
なんでなんだよ、なんて
今更責めたりせんけどさ、思い出して独り言のように延々とそこにいるみたいに話してしまってたりすることが年々多くなってて おれやばいやつやんてなる
ただただ
寂しいんだなあと
その胸の穴を埋められないでいるとわかる。
きっともう ずっとそうなんだろうなあと。
学食の前で
進路のこととか相談してて
色んな話をしてるとき
だれのせいにもせんために
自分が好きなようにしなきゃだめよ。
ってあいつの言葉だけがずっと支え?呪い?みたいになってて
学生のくせにやたら達観してたよなあ
腹立つなあ
いまだにそのときの声を思い出す。
「ダブチコーラポテトエルエル」
ほんとわがままなセットよなあ
40代後半の胃にはきつい
うまいあまいしょっぱいのループ
でも完成されてるわ。
人生みたいやん。知らんけど。
昔よりしょっぱいし
普段食べんし
いつかそっちいったらいっぱい話して呑もうや
とかそんなこと絶対思わん。
そんなの待てん。
今もそこにいると思って、共に生きているつもりで、相談に乗ってもらってるとおもって生きる。
「食べたらなんする?どこいく?」
どうしようかね
しんどいわ
胃もたれしそう。
これさすがに全部は食えんな
半分残そう 無理
現世からは以上です。
しかし
今日も暑い。