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理想のクルマと現実のクルマ

いまはクルマの商談の申し込みもネットで行う時代です。(とは言え、そんなに多くないですが)

先日そのネットで試乗の申し込みをして来店されたお客さまですが、クルマで来店されるとのことだったのでお待ちしていたら、何と!新車のBMWで来店されたんですね、でも1シリーズでしたが。

お出迎えすると、30代のご夫婦と1才くらいのお子さん、そしてお母さまが降りてきました。

ご夫婦は何となく輸入車に乗る雰囲気ではないオーラなので、これは?と思って店内に案内して話を聞いてみるとお母さまが最近買われたクルマとのこと。

なるほど・・・

そしてご本人達が現在乗っているクルマはあるかと尋ねたら、ずいぶんな年数の経った軽自動車とのことだった。

意外とこういう生活感というのは、オーラに出るので、見る人が見れば判ります。

そして検討車種の試乗の車中での会話。

ご主人:「やっぱりカイエン(ポルシェ)より質感がないよね!」

奥さん:「そうね~、しょうがないじゃん!」

ボク:「そりゃお値段も倍から3倍も違いますからね~」

ご主人:「それもそうか、でも広さはやばいね~」

奥さん:「ほんと広さやばい!いまの軽とは全然ちがう~!」

ボク:心の中で「そりゃそうだ」

奥さん:「それにこの静粛性マジやばい!」

ボク:「そうでしょ!やっぱりハイブリットは静かですよね!」

ご主人:「コーナーリングの安定感もやばい!この重さのミニバンですご  よ!」

奥さん:「マジ!ほんとカイエンみたい」

ボク:「ところでカイエンも検討しているんですか?」

ご主人:「そうなんですよ」

ボク:「ほんとですか?すごいですね!結構予算の幅もあるから、このクルマなんて全然余裕の予算ですね!」

ご主人:「いや、カイエンは中古で検討しているんです。前も乗っていたし・・・」

ボク:心の中で「まじか?前にカイエンに乗っていたんだ」

そして試乗から帰って一通りクルマを確認すると、次はお決まりの見積もりです。

そして、このご夫婦がチョイスしたのが一番高い車両本体価格のクルマ!しかも付属品も片っ端からつけて、まるで日本にきてビックカメラで「This!」と商品を指さして片っ端から買い物をして行ったマイケル・ジャクソンのごとく付けるわ付ける、付属品だけで110万円!

そりゃこれだけ付けて買ってくれれば儲かるからいいんですが、予算は大丈夫か?と、こちらが心配になる、そんな微妙な感じのお客さまなんですよね。

そりゃ、いままで1600台以上もクルマを売っていれば経験則で判りますからね。

そして出た総額が560万円!

ご主人:「予算の500万円をオーバーしちゃったね!」

奥さん:「オプション付けすぎジャね?」

ご主人:「でも全部はずせないでしょ!?」

奥さん:「そうだけど、すごいね!」

そして購入方法はクレジットとのこと

なので、支払いを試算すると・・・

ボク:「月々73,000円ですね」

ご主人:「これは払えないな~」

ボク:「月の支払いの予算はいくらですか?」

ご主人:「ん~、50,000円ですね」

ボク:「・・・・・」 「そうすると130万円予算オーバーですね」

ご主人:「それだけ引いてくれれば、いま決めちゃってもいいけどな~」

と悪びれる様子も無く、無邪気に言う。

やっぱり、予想的中だ!

こういう時思うんですよね、さっきの予算の500万円の根拠ってなんなんだ?キャッシュで買うならともかくクレジットの支払いのシュミレーションもしないで500万円が予算ですは無いだろ、と。

こんな値引きができるハズもなく、かと言って付属品は削りたくないとのことなので、話はまとまる訳もなく、挙句に明日レクサスも見に行くとのこと。

ボク:「レクサスはさっき試乗中に話されていたNXですか?」

ご主人:「いや、中古のCT(200万円くらいのクルマ)」

ボク:「でもさっき狭いクルマはあり得ないっておっしゃっていましたよね?」

ご主人:「でもリッター37kmの燃費は魅力なんですよね」

ボク:「そんなに走りましたっけ?」「お調べしてみますね」

結果、CTの燃費は26,6kmと大したこともなく、むしろ今回見積もりした大型ミニバンの27km/ℓの燃費が際立つ結果となってしまった。

まあ、燃費がどうのと言ったところで一番肝心なお金がどうにもならないので決まるハズもなく、ご帰宅と相なりました。

予算500万円で支払いが月に50,000円だと、金利を計算しなくとも5年で300万円7年でも420万円しか支払えないという事くらい計算できると思うんだけど?

消費者金融のCMでは無いですけど、

「ご返済は計画的に」ですね! 

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