ちょっと疲れたからめちゃくちゃな文を書いてみようと思う
2024.05.27
ぺぎんの日記#57
「ちょっと疲れたからめちゃくちゃな文を書いてみようと思う」
私が欲しいと思ったのは、人魚の形をした人間。80歳になってもその美貌を衰えさせることなく生き続けたという、あの可愛い女の子たち。ショウウィンドウに並ぶ彼女らの目は深い緑色で、その奥には私の後ろにそびえ立つビルが写っていた。
小さな家で一人暮らしをしていた頃は、横断歩道に壊れかけのミキサーが落ちていたり、線路に桜だって咲いていた。生活において足りないものなど一つもなかった。
時計が止まったせいでこの空の見えない街に来ることになってしまったことを除けば、現実逃避を繰り返した私の半生も悪くなかったのだと思う。
眼の前の少女にもう一度意識を向ける。ショウウィンドウに並ぶ彼女らの目には希望が写っているのだろうか。眼の前でにらめっこする私と、地上0階から土砂が吹き出るオフィスビル。
偽物だよね。もちろん義眼という意味で。
猫に耳あり、犬に足あり。人魚には義眼がふさわしい。
でも、義眼の君たちにも見えるでしょ。これがおかしな世界だってことくらい。転がらない電柱とグラグラ落ちていくマンホールを見て、その異常性に気づかない奴が本当のキャタクターってことだよ。
長旅ご苦労さま。ねぇ、会いに行くのはダメ?
もう目前にあるドアをノックしたらよいのだと、知ってることとわかっていることは違う。迷わずポップコーンを手にとって走り出す。
壁はうねり、コンクリートの天上はピカピカと光を照り返す。突起の先端に足がひっかかることを願って足を伸ばす。公園でもらったスニーカーが汚れていくのがわかる。つま先が触れる。かかとが外れる。
真っ逆さま。落下距離10mm。
人魚さんに睨まれる。ごめんね。
映画館の香りと、白いワンピースがひらりとしたのを見た気がして起き上がる。窓の外がぱっと明るくなった。今日はなにもないといいけど。
この感情に名前をくれたのはあなただから、だから、G線上で、大切にしてね。