助手席の夜
2024.08.20
ぺぎんの日記#137
「助手席の夜」
19:00の最終バスを逃してしまい、20:00頃、お父さんに迎えに来てもらった。
高校のある街から私の家までの約15km。流石に歩いては帰れない距離にうんざりする。19:00に最終便が出るバスもどうにかして欲しい。
まぁ…どうにかするーつまり便数を増やすと、このバス会社は倒産しちゃうわけだけど…。
そんなわけで、お父さんに「バスを逃してしまいました…」とLINEをして、わざわざ迎えに来てもらった。
日がもう完全に暮れた頃、待ち合わせ場所にしてたコンビニにお父さんが車で来てくれた。「ごめん、ただいま!」そう言いながら私は助手席に座る。
街頭や民家がそこそこあるせいで、星は見えない。そのくせ夜景と呼べるほど綺麗でもない。そんな道道を走って家まで帰る。
北海道あるある「やたら真っ直ぐな道道」
北海道が設置した道、ということで「道道(どうどう)」
家に近づくにつれて道の周りの明かりも少なくなり、車のヘッドライトと街頭のみが道を照らす。星は見えない。どうやら街の明かりのせいだけでなく、今日は曇っているせいで星が見えなかったみたい。微妙な明るさのせいにして、毒づいちゃってごめんね。
車内では、カーナビに刺さったUSBメモリからRADWIMPSが流れている。
お父さんは最近ラッドにハマったらしい。GEOでCDを買ってきては、データをUSBに移し替えて車で流している。
私が「YouTubeからダウンロードしちゃえばいいのに」と言うと、
「ダウンロードしちゃうと再生回数に加算されないからさ、せめてもと思ってCD買ってる。あと普通にYouTubeに載ってない曲も聴きたいし」
だってさ。こりゃ相当のファンだね。この回答に私は「ふえーん」という感嘆とも、単なる相槌とも取れる返事をする。
それ以降、会話は無い。会話のない空間を、お互いが望んでいるような。
2人で静かに、ラッドの曲を聴く。
まっすぐ続く道を、法定速度軽々オーバーで走る車。
真っ暗な外。
流れるRADWIMPS。
助手席でただじっと前を見る私。
こういうときは、尖った犬歯がやたら気になる。