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今から日の出見に行かない?

2024.09.10
ぺぎんの日記#163
「今から日の出見に行かない?」


朝5:00。急にLINE電話が鳴る。

眠い目をこすりながら画面を見る。友だちからの着信。

なんだよこんな時間にと思って通話ボタンを押す。

スマホの奥から「起きたw」という笑い声が聞こえる。どうやら電話の向こうは屋外で、電話口には2人いるらしい。一応聞かなければ話にならないので「何の用?もう一人誰だよ」と、寝起きのガラガラ声で聞く。

電話の奥では、キャッキャと楽しそうな声がする。楽しそうだけど、どこかまだ、相手も目が覚めきっていないようなボンヤリした声。

要件をまとめると、どうやら日の出を見るために友だちと歩いてきたら、近くに私の家あるじゃん、誘っちゃおうよということになって、私も日の出を見るのに呼ぶことになったらしい。

昨日何時に寝たんだっけ…。睡眠時間、何時間だ?

唐突も唐突で頭は回らないが、断りそこねたので行かなければならない。

家族を起こさないように洗面所に行って、顔だけ洗って、髪の毛は適当に後ろで縛ってキャップを被る。登校用のボロいスニーカーを履いて、玄関のドアを静かに開く。

外はまだ暗い。てか、明るかったらそれは日の出に間に合わなかったってことか。じゃあこれで正解。

チャリのスタンドを蹴って、待ち合わせの場所に向かう。住宅地のジグザグを縫って走り、少し太めの、といっても線路沿いの片側一車線の道路に出る。

友だち2人の姿を視認する。2人とも私と思考が同じようで、帽子を被ってる。1人に関しては、いつもコンタクトなのに今は眼鏡だ。

「おまたせ〜」

ゆったりと近づくやいなや、2人は私を急かしてくる。「もう日出ちゃうよ!早く!」

「だる」と思いながら、2人の後ろで自転車を立ちこぎする。空はもう明らみ始めて、オレンジ色になっている。

歩道橋に着き、下に自転車を降りて、3人で駆け上がる。


というのが、私の想像。

この前、平日の日にだよ?友だちがインスタのストーリーを更新してたわけ。

高校の近所の歩道橋から写した朝日の写真をバックに「叩き起こされて日の出見に行ってきた。許さない」というテロップが入っていた。

学校に行ってその友だちに訪ねてみると、まさに今書いたような状況だったみたい。だいぶ想像で脚色したけど、きっとこんなことが起こっていたんだと思う。彼女の視点で、彼女が考えそうなことを想像して、それでも多分、彼女たちの過ごしたあの時間には追いつけないんだろうな。

いいな。電話かけて、すぐに家を出て、無意味に近所に朝日を見に行ける友だち。久しぶりに、人のことを本気で羨ましいと思った。私もこういう青春をしてみたい。

「ねぇ、今から日の出見に行かない?」

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