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アイコン
2024.09.01
ぺぎんの日記#154
「アイコン」
初めてSNSのアカウントを交換した人のアイコン、ヘッダー、それにステータスメッセージとかって、一回調べてみたくなりません?
アイコンって、一種の自己表現だと思うんです。
アイコン(icon)
1.コンピュータで、ファイルの内容やプログラムの機能などを絵文字にしてディスプレー上に表示した図形・記号。
2.偶像。あこがれや崇拝の的となるもの。また、象徴的なもの。イコン。「ファッションアイコン」「時代のアイコンとなる」
クラスメイトの1人がInstagramのアイコンに、ビニール袋に入った金魚の画像を設定している。
Threadsの方のアイコンは「シロヒトリ」という虫が草の隙間から顔を出している画像。
どちらもいわゆる「パット見て分かるおしゃれなアイコン」という方向性じゃない。彼女が何に美しさを感じて、どうしてそれをアイコンにしようと思ったのか。それを考えて始めて、彼女の象徴と成り得るような画像って感じだと、勝手にお
思っている。
Instagramのアイコンになっている金魚。画像検索をかけても、完全一致の画像は見つからなかった。彼女はどこでこの金魚をもらってきて、これからこの金魚は彼女の手によってどうされてしまうのか。ビニール袋と水が屈折して歪んで見える背景と、そこにに光るキラキラとした木漏れ日が美しい。
Threadsのシロヒトリも、画像検索にひっかからなかった。メジャーな虫ではないので、画像を検索にかけてみた人にしか「シロヒトリ」という名前は分からないだろう。彼女はそれを狙った…というか、そういう芸術性に惹かれたのだと思う。私がそういうのを好く人だから、彼女もきっとそういう意図でアイコンを設定したんだと勝手に思っていた。だから私は
「私だったら『ヒトリ』という言葉がこの虫に付いた由来まで調べる。そうじゃないともう一歩深く踏み込まれたときに1つのストーリとして矛盾が発生するかも知れないから」
と思って、「シロヒトリ」の「ヒトリ」が一体なんの「ヒトリ」なのか、由来を調べてみた。結果、どうやら「独り」ではなく「火取り」。シロヒトリは、焚き火の光に引き寄せられて飛んで火に入る、まさにそういう虫の一種なのだという。
袋に入れられた金魚と、飛んで火に入るシロヒトリ。なんとも気持ちの悪い組み合わせだが、そこに妙に美しい一貫性を感じる。
彼女とInstagramをつなげたうちの、いったい何人が、金魚について思いを巡らせるだろうか。彼女とThreadsをつなげたうちの、いったい何人が、アイコンになっているのは虫で、その虫が「シロヒトリ」という名前なのだと知るだろうか。
受け取り手がいないかも知れないものを、精密な計算の上で創り出しているような。そしてその芸術に「私に興味がある人だけ調べればいいよ。どうせ分からないだろうけど」という圧倒的な自信を持っているような、そんな気さえしてくる。
実際彼女が、何を考えてこのアイコンにしたのかは分からない。私の想像していることは単なる偶然かもしれない。でもたしかに言えることは、そんな想像を私にさせるだけの魅力が、もともと彼女にあったということだ。
たとえこの2つのアイコンが、彼女が適当に設定したものであったものであったとしても。無駄に深く思考し、彼女の意図せぬところで勝手に踊らされていたとしても。それが彼女のせいなら、それすら心地いいと思ってしまいそう。
アイコン。
彼女は一種、私の崇拝対象かも知れない。