『黄色い家』の読書感想 〜圧倒的なディティールで描かれる地獄〜
本屋大賞にノミネートされている『黄色い家』を1週間くらいかけてようやく読んだ。
主人公の花の一人称小説なのだが、見ている景色やうちに渦巻く感情と身体的な反応などのディティールの書き込みが半端じゃなく、読んでいくうちに花の視点に同期していくという「小説を読む」という行為の面白さを存分に味わえる「小説好きが好きな小説」だと感じた。
物語自体は、「犯罪によって歪んでいく人間性を細かい段取りで描いていく」というカタルシスがあまり来ない「堕落のアーク」の物語なので、エンタメ性はそこま