ぺテルでカツカレー:ジャンクと本格派のモザイク、アジアン料理『旨味』
ぺテルにお住まいの皆さんにはお馴染みのアジア食材店『RED DRAGON』、マラタ通りの本店のすぐ横にあるのがこのアジア料理屋さん『旨味Umami』です。
開店直後は、ロシア語の「営業中」という看板と、日本語で「準備中」とかかれた暖簾が一緒に店の前に出ていたりしてやっているのかやっていないのかよくわからない錯誤の多い店でしたが、あれから早…4、5年?
最近はすっかり落ち着いたようで、市内に2号店も出店し、コロナ禍を物ともしない順調な発展ぶりのようです。近所でありながらずっと足が遠のいていたのですが、先日久々に行ってみました。ちなみに暖簾はちゃんと「営業中」になっていて一安心。
店内は混沌としていますが、実はここは意外な本格派の店でもあるのです。
提供されているのは主にタイ、韓国、中国、そして日本の料理なのですが、そもそもはタイ人の料理人がメニューの構築をし、ロシア人に技術指導をしたのだとか。タイ人スタッフはとっくに帰国してしまったそうですが、店では一応直伝のタイ料理が食べられることになっています。が、すみません、私はここでタイ料理を食べたことがありません。
そして韓国料理の前菜はすべて韓国人が調理しているということです。数種のナムルとキムチを食べましたが、どれも本格派でした。
ここにはさまざまなアジアンビールに混じって日本のビールもあります。アサヒのスーパードライとサッポロですが、アサヒはスーパーどころかドライさ感がゼロ、むしろマイルドで刺激のない味に仕上がっています。バルチカ(ロシアのビールメーカー)がライセンス生産しているせいでしょうか。サッポロもライセンスでしょうが、こっちの方が苦味とキレがあって個人的にはおすすめです。
ビールを頼むと突き出しにエダマメがでてくるのが嬉しいのですが、粒のでかい塩が塊で振り掛けられていてかなりしょっぱいです。このエダマメだけでビール2缶くらいは飲めそうです。
飲み物はほかに日本酒や焼酎などもあります。
さて食事です。
我々の目当ては実はカツカレー。集まった5人中、実に4人がカツカレーを注文しました。日本のカツカレーとは違うのですがけっこういけます。カツはカツというよりシュニッツェルで、甘口の日本のお子さまカレーをかけたご飯の上に細切りのシュニッツェルがのった感じです。肉の上にはウスターソース、わけぎ、白胡麻がかかっています。個人的にはカレーが辛かったらもっと嬉しい。
本格派のタイ、韓国とは一線を画し、ここの日本料理はかなりロシア人のファンタジーに侵食されています。日本人の関係者は一切絡んでいないようです。
この日我々が注文した料理のなかで、もっとも冒険したものはなんといっても「うなぎリンゴ」でしょう。これは巻き寿司の一種です。
この写真ではわかりにくいのですが、上部にうなぎ、中にはフィラデルフィア系のチーズと、なんと生のリンゴが海苔で巻かれた感じで収まっています。
味は意外と悪くないです。
リンゴがあまり甘みも酸味もない品種のせいか、うまい具合にチーズやうなぎのタレと調和しています。いっぽうで生のリンゴのシャクシャクがチーズやうなぎや米のねっとりもったりした食感と反発し、口中に軽い混乱を生じさせるようです。決して不味くはないが、わざわざリンゴを入れた意味は今ひとつよくわからないというのが率直な感想です。ちなみに姉妹品に「うなぎマンゴー」もあり、当初はそっちを頼もうとしていたのですが、店員さんが「リンゴにしておけ」というのでリンゴにしました。マンゴーのトロピカルな破壊力が気になるところです。
このほかにも色々不可解なメニューがあり、そういえば中国の料理なんてあったっけ?ということも含め、いまだ謎が多い状態です。不明な点については店員さんとやりとりするとけっこう面白いリアクションが返ってきます。市内の方は一度足を運んでみると楽しいのではないかと思います。By K.Ichi
『旨味Umami』住所:サンクトペテルブルク市 ボロヴァヤ通り 3 (ул. Боровая, 3) 営業時間:11:00–22:00 電話: +7 (812) 925-77-71
『ぺテルで劇場へ行こう!』ペコのサイトにぜひ遊びにきてくださいね!
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