ステーキ@小児科医

小児科医です。 日々の経験や気づきについて、"魂"を込めて書いてます。 ジャンルは、医療現場、哲学、時事ネタなど。 よかったら見ていってください。 ※患者情報は、すべて特定されないよう編集しております。

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患者に共感しない医師が多い理由

みなさんは病院を受診したときに、 「この先生は自分のことには全く興味がなくて病気のことしか考えてないな。」 などと不満を感じたことはないだろうか。 僕には、ある。 そして患者に共感しない医師が多くいることに憤りを覚えていた。 なお、ここでいう「共感」とは 「相手の心境を自分のことのように感じること」とする。 今回はそんな経験をしたことがある方達にこそ読んでほしいと思う。 興味があれば是非最後までお付き合い願いたい。 医師を目指すと決めたとき、 「そんな風に

    • 子どもの医療行為に”本人許可”は必要ない。

      つい先日、男性医師が学校健診で「本人の許可なく」児童の陰部を見たことが話題になった。 世間では、「本当にそれ診察なの?」っていう素朴な疑問だけじゃなく、 「医療行為をするなら子ども相手でも許可取るのは当然」 っていう"子どもの人権"にまで話が拡がってる。 ただ極論を言うと、子どもの医療行為に”本人許可”って必要ないです。 もちろん陰部の診察については、この限りじゃない。 これは例外の部類に入るし、他にも例外はある。 だけど「必要か、必要ないか」の極論で答えるなら「必要

      • 大切な人の命を「割り切る」ことはできるか。

        ○プロローグ 年を重ねていく中で、「大切な人の死」をふと想像してしまい、怖くなる機会が増えた。 それは臆病な内面が原因でもあり、 多くの患者の死と残された家族を見てきた経験のせいでもある。 怖くなった後でいつも思うのは、 人はいつか必ず死ぬ、というのは分かりきっているのだから、どうにか失ったときの悲しみを事前に和らげることはできないだろうか。 ということだった。 大切な家族や友人を失いたくない。 自分が生きている間は誰も死んでほしくない。 でもそれが無理なのは分か

        • 『雨上がり決死隊の解散』って宮迫が悪いの?

          先日、雨上がり決死隊が解散した。 今年の1月に宮迫が闇営業での謹慎中にYoutubeを始めたことで、蛍原さんとの間に気持ちのズレが生じたらしい。 今年の4月に蛍原さんが解散を切り出し、宮迫が受け入れたとのこと。 8月17日に解散会見が放送されると、それをテーマに報道番組がこぞって議論を展開していた。 その一連の様子を見ていて、僕はものすごく違和感を持った。 最終的な感想は、 「テレビの人ってYoutube嫌いなんだな。」 だった。 「宮迫」ではなく「Youtub

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          子どもを「怖い」と思った瞬間

          みなさんは「子ども」に対してどんなイメージを持っているだろう。 「可愛い」「無邪気」「愛らしい」といったポジティブなものから、 「うるさい」「目障り」「嫌い」と言ったネガティブなものまで様々あるかもしれない。 ちなみに僕は子どもにポジティブなイメージを持ってる。 彼らには僕らよりもはるかに多くの「可能性」が秘められており、それは社会で守るべきものだと本気で思ってる。 こんな具合に子どもへのイメージは人それぞれに様々な思いがあると思う。 それでも子どもを「怖い」と思う

          子どもを「怖い」と思った瞬間

          1泊1000円のホテルに泊まったら人生観が変わった話

          夏休みに2泊3日の大阪旅行に行ったときのこと。 大阪には既に何度も訪れており、宿泊先は割と定番化しており面白みがなくなりつつあった。 そこで今回はもっと刺激的な場所のホテルに泊まることにした。 辿り着いた場所は西成区あいりん地区。 あいりん地区は日本でも有数のドヤ街※だ。 ※ドヤ街 日雇い労働者が多く住む街のこと。  今でこそ少し落ち着いたが、10年ほど前までは暴動などが絶えない治安がもの凄く悪い街だった。 街を少し歩くと、すぐに異様な雰囲気に気づく。 まだ明る

          1泊1000円のホテルに泊まったら人生観が変わった話

          自己啓発本を読むべきでない人の特徴

          最近になって自己啓発本※の王道である「人を動かす」や「7つの習慣」を読んだ。 ※自己啓発本 ・人間の能力向上や成功のための手段を説く、自己啓発を目的とした書籍。 ・主に人生について取り扱う分野であるため人生書の一種とも考えられ、人生指南書などの表現も存在する。                       -wikipediaより引用 こういう自己啓発本はものすごくためになることが書いてあるけど、ふと疑念も湧いてきたため、色々と考えてみた。 その結果、むしろ読まない方がい

          自己啓発本を読むべきでない人の特徴

          安直だけど、純粋さが胸を打つ

          人の純粋さに触れてはっとさせられる経験ってないかな。 僕はたまにある。 ○坊との出会い小児科医として働き始めて、まだ日が浅い頃のこと。 当時、病院に6歳の男の子が入院していた。 容態は比較的安定していたが、治りきらずに入院が長引いていた。 その男の子は坊主頭の小太りで、クラスに1人はいる憎めないタイプのおデブキャラだった。 見た目が「千と千尋の神隠し」に出てくる『坊』に似ていたので、そう呼ぶことにする。 坊は病院食を絶対に残さないし、 回診で病室に行く度に「もっ

          安直だけど、純粋さが胸を打つ

          クマを「さん」付けするな

          「クマ」を動物園やテレビで見たとき、 皆さんの中に「クマさん」と愛称を付けて呼んでいる人はいないだろうか。 そういう人たちに言いたい。 バカかと。 いやちょっと言い方が悪かった。 本当に申し訳ない。 言い直させて欲しい。 アホかと。 まあこれは冗談としても、それくらい僕は「クマ」に愛称を込めることに違和感を覚えている。 先日こんなことがあった。 その日僕は自宅で何の気無しに、ソファに寝転んでバラエティ番組を見ていた。 ツアー企画でタレント4人が国内を車で旅していく

          クマを「さん」付けするな

          「結果」ありきの批判は「ただの自己満」。

          先日とある新聞を読んでいたら、 勝負の3週間※の「失敗」について書かれた記事を目にした。 ※勝負の3週間 2020年11月25日に西村経済再生担当大臣が 「この3週間が勝負だ」として、 コロナの感染対策を短期集中で行うと呼びかけた期間のこと。 そこには、 「官僚も医療界も対応が後手に回っていたと言わざるを得ない。今後、大いに反省が必要だろう」といった主旨の内容が書かれていた。 書かれている批判は、その通りだと思うところも一部あったし、記事を書くためには必要だとも思ったけ

          「結果」ありきの批判は「ただの自己満」。

          「タイプの違う人」と話しましょ

          今回は、コミュ力に大事なマインドについて書きました。 僕は職業柄、さまざまなタイプの人と話す機会があったり、プライベートでも多くのコミュニティの人と話す機会が多いです。 そういう中で感じたコミュニケーションで大事だと思うマインドについて紹介します。 そのマインドが何かを説明する前に、 そのマインドを持つための方法を先に伝えます。 それは、 「タイプ(=属性)の違う人」と話すことです。 ○属性の違う人とは?そもそも属性の違う人とはどのような人でしょうか。 それはズバ

          「タイプの違う人」と話しましょ

          赤ちゃんから学んだ「ストレス」のこと

          最近、ストレスってあって良いんだ、と思うようになった。 もちろん過剰なストレスや理不尽なストレスはあって良いとは全く思わないけど、 常にストレスフリーである必要もない。 そう思うようになってから生きやすくなったと感じる。 今回はその考えに至るきっかけになったエピソードをお伝えしたい。 ※ここでいうストレスは、ざっくりと 「心身にかかる負荷」 という意味で捉えてもらえると。 ○ストレスの無限ループそれまでは「ストレス=否定すべきもの」と捉えていた。 ストレスは悪でス

          赤ちゃんから学んだ「ストレス」のこと

          「子ども」から「死」が垣間見えるとき

          自己紹介で「小児科医です。」というと、 「子ども好きなんですね」 「子ども可愛いですもんね」 とよく言われる。 それは全く否定しないけど、そう言われると僕は 「まあ、、、そうですね。」 と少し躊躇いがちな返答になる。 ちなみにそのように言ってくる相手は医療者以外の人だ。 別に責めているわけでなくて、単純にイメージが湧かないのだろうなと思う。 なので今回はその躊躇いの理由が伝わるエピソードを書いてみようと思う。 ※プライバシー保護のため、事実をベースに内容を一部改変

          「子ども」から「死」が垣間見えるとき

          医療現場で見た"地獄"

          医療現場で人の生死に触れ続けると、それについてあまり感情が動かなくなる。 それについては以前別の記事(患者に共感しない医師が多い理由)で書いた。 では僕にとって医療現場の日常が全く無味乾燥な毎日かと言われるとそんなことはもちろんない。 色んな瞬間に感情は動くし、嬉しいことも悲しいこともある。 その中で最も感情が揺り動かされ、二度と経験したくないと思った瞬間について、今回は書こうと思った。 最後まで詳細に書いてみて思ったけど、そのときの感情が蘇ってきて何度も挫折しかけ

          医療現場で見た"地獄"

          障害者の命を救う意義はあるか。

          みなさんはそう聞かれたら何て答えるだろうか。 せっかくなので少しだけ自分の答えを考えてみてから、これからの文章を読んで欲しい。 ここでいう「障害者」とは「知的レベルと運動機能が著しく低下した人」のことで、 「なんらかの障害を負っているが、自ら日常生活を送れている人」は含めないことにしたい。 聞いておいて申し訳ないけど、 この問題に即答できるのは、 この問題ついて普段から物凄くよく考察している人か、あまり考えていない人じゃないかなと思う。 まず「障害者だろうが人の命。救

          障害者の命を救う意義はあるか。

          「人の命は平等」という思い込み

          コロナで多くの訃報が報道され、生と死について考える時間が増えた人も多いと思う。 僕はもともと職業柄、人の命について考えることが多い。 その上で皆さんに聞きたい。 皆さんは人の命のあり方について、 「平等派」と「不平等派」のどちらだろうか。 今回僕が伝えたいのは、そのどちらが正しいかという話、ではない。 伝えたいのは、 「平等派」と答えた人のほとんどは、実は無意識のうちに「不平等派」に属している。 ということだ。 「何を言っているのか。この世の全ての人の命は平

          「人の命は平等」という思い込み