
小児科部長の忘れられない言葉
総合病院に勤務していた時のことです。
若くて、少しツンとした雰囲気の小児科医がいました。
ある年、その先生が民間の総合病院を離れ、最新の高度医療を提供する小児専門病院へと移動することが決まり、その送別会でのお話です。
誰もが知っている有名な病院だったので、先生も上機嫌でした。
周囲も『すごいなあ』という感じでした。
その最後の小児科部長(副院長)の挨拶の番でした。
小児科部長が真剣な顔で話し始めました。
「高度な施設に行くことはよいが、我々の使命は一体何かを常に考えなければならない。有名な病院にいっても、それを忘れてしまえば意味がない。
常に自分の原点に立ち返ってほしい」と。
この厳しくも優しい言葉は、その先生だけではなく、私たちにも深く心に刻む言葉でした。
私たちは、単に子どもの病気を治すことだけではなく、その子どもと家族に寄り添い、自分に何ができるのかを考えることだと思います。
その部長先生をはじめ、私が出会った小児科医は本当に素晴らしい方が多くいました。少し言葉たらずだったり、不器用な先生もいるけど、皆さんの周りにもきっと素敵な医師はいると思いますよ。