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最近の記事

【ショートショート2000文字】『熱いお茶。』(オリジナル短編)

『ねえ、聞いて!!裕子ちゃん、最近、彼氏と別れたらしいよー!』 『え!マジ!?どっちが振ったの?』 『これがさ!意外にも!達也の方らしいのよ!信じらんないよね〜!』 『ウソ〜!サイッテー!裕子マジ可哀想なんだけど〜!私の親友になんてことするわけ〜!信じらんなーい!』 教室の後ろの方にいる、いつもつるんでいる4人の女子グループから、やけに大きな声の会話が、教室の真ん中ら辺の席で、自分の腕を折りたたんで、枕にしている僕のところまで聞こえる。 僕は特に何の用事もないスマホ

    • 『ラッキーストライク』【ショートショート(2000文字)】

      『季節性の風邪ですね。お薬出しておきますね〜。』 まあ普通に考えれば、風邪だろう。 それは順当な判断だったと、今になってもそう思う。 いつも通りに、患者へ声をかけて、診察の終わりをやんわりと告げる。 『はい。どうもお世話様でした。』 初診で受け付けたその患者は、山下幸子という、60歳過ぎのおばあちゃんで、熱っぽい顔に屈託のない笑顔を向けて、私に律儀に言った。 なんだかほっこりとした気持ちになった。 おばあちゃんはゆっくりと立ち上がり、意外にも荷物カゴの中に入れて

      • 『INFJってこんな感じ』【ショートショート(500文字)】

        「『INFJあるあるだと思うのですが、自分の頭の中のイメージを、なるべく再現度100パーで伝えようとするので、話がすごく長くなってしまうんです。』 この話を以前、友人にしたのですが、その友人には、自分はその気持ち全くわからないわーと言われていしまいました。 とはいえ、私もINFJとしてかれこれ60年ほどさせてもらっていますから、そう簡単に引き下がるわけにもいかないんですね。」 遠くの方で、何か大きなものが倒れた音がした。 「ただこれも私の持っている愛すべき性質というか、性格な

        • 『透明人間』【ショートショート(1000文字)】

          私は透明人間なのだろう。 確信が持てない理由は、透明人間である自分もまた、自分の姿を見ることができないからだ。 何をそんなと思うかもしれないが、案外、厄介なのである。 つまり透明であることは、ある程度間違いないのだろうとは思うのだが、人間であるかどうかの方が怪しいのだ。 自分の体を触ればわかる。という人もいるだろうが、やはり、そういうわけにもいかないもので、自分の手に触れたものが、箱の中身を当てるゲームの、答えだけいつまで経っても知ることができないような、そんな不条理

          “『これはAIが書いた物語です。』【ショートショート(1000文字)】

          『これはAIが書いた物語です。』 久しぶりに書く物語の一行目は、Twitterや、インスタなどで読んだときに、インパクトのあるものでなければならない。 あらゆるジャンルでSNSが大きな力を持ち、AI技術の発達が目覚ましい現代。 内容を深く研ぎ澄ましていくこと。 こういった視点は、今後、優先度が2番目以降の代物に成り果ててしまうのだろうと思う。 消費が早い世の中では、広く浅く、同時並行的に処理されるものに価値を見出す。 深くて遅い、集中力を持って処理するものは相対的

          “『これはAIが書いた物語です。』【ショートショート(1000文字)】

          『SNS運用』【ショートショート 1000文字】

          『こんにちは、皆さん!最近、SNSの使い方がどんどん変わってきているのを感じませんか?フォロワーを増やすのって大変ですよね!私も日々試行錯誤しています!』 ライブ配信での視聴者が、ちょうど1億人を超えた。 男は話を続ける。 『そんな中で、面白いアプリを開発しました!それは、AIが自動でフォロワーを増やしてくれるというものです!』 誇らしげに語る男の口調が、今日という日が彼にとって、夢にまで見た日であることを雄弁に物語る。 『このサービスでは、AIが自動的にフォロワー

          『SNS運用』【ショートショート 1000文字】

          『INFPってこんな感じ』【ショートショート1000文字】

          静かな部屋の中で、陽子はパソコンの前に座っていた。毎日、異なる言語の文章を日本語に変換する仕事をしている。 陽子は幼い頃から本が好きだった。 物語の中に没頭し、登場人物の感情に共感することが彼女の楽しみであり、大人になってからもその習慣は変わらず、翻訳の仕事を通じて多くの物語に触れることができるのは、彼女にとって理想的な職業だったはずだった。 ある日、陽子は新しい翻訳依頼を受け取った。 著名な作家の自伝だった。 それは、とても凄惨な1人の男の人生についての自伝だった

          『INFPってこんな感じ』【ショートショート1000文字】

          『仕事できますね。』 【ショートショート(800文字)】

          『いや〜、さすが山田さん。仕事できますね。』 肺に溜まった煙を吐きながら、私は今日も、呼吸をする。 田中良和25歳。大学卒業後、新卒で入社した、この会社に入ってから3年で学んだこと。 『仕事できますね。』 これを言うと、みんな満更でもない顔をするということ。 自分を客観視出来ない人は、その傾向が強いということ。 『いや〜。田中君に比べれば僕なんて、ごみ以下だよ。』 そのセリフとは裏腹に、山田先輩は満更でもなさそうだ。 その表情に隠しきれない綻びを、喫煙室に煙と共

          『仕事できますね。』 【ショートショート(800文字)】

          『最後の晩餐』【ショートショート(2000文字)】

          『つまりパンを食べるか、ご飯を食べるか、この2択でその後の世界の在り方が変わると言うことですか?』 会社の昼休みにスーパーで買った見切り品のパンを、ビルの壁にもたれ食べながら尋ねる。 突然、私の意識の外から現れた浮遊感のある男は、やはり突然、私に話始めたので正直かなり狼狽えた。 しかしなぜだか分からないが、その内容は嘘ではないことは直感で分かった。 しわひとつ入っていない黒いスーツに、二枚下駄を履いた、ボサボサ頭のその男にそのように尋ねた。 『そうだね。 もうパンと

          『最後の晩餐』【ショートショート(2000文字)】

          『副作用』 【ショートショート(2041文字)】

          『血圧が少し高くなっていますね今回は打撲による膝の痛みもあるということで花粉症の目の痒みを抑える目薬と合わせてこれらのお薬まとめて処方箋で出しておきますね。』 医師がパソコンのキーボードを打ちながらパソコンの画面に無機質に、消化試合のように言う。 感情がこもらない音読のようで、内容がイマイチ頭に入ってこない。 『あー、はい。』 医師は続ける。 『ではお薬を出しておきますね処方箋が受付で出ますのでお持ちくださいねそれではお大事に』 なんの抑揚もなく、50代くらいの白

          『副作用』 【ショートショート(2041文字)】

          『最新型AI』 【ショートショート(1130文字)】

          20xx年、某所。 『世の中には2種類の人間しかいないのではないかと思う。 私の作ったこの最新型AIスマホの凄さが分かる者と、そうでない者の2種類だ。』 暗がりの中にスポットライトで照らされる私は、白いタートルネックに黒のパンツ、丸メガネをかけてそのステージに立ち、見えない大衆へ向けて語りかける。 暗いステージの上を右側へゆっくり移動しながらプレゼンする私を、スポットライトが実直に追いかけてくる。 『説明しよう。この最新型AI搭載スマホは、人物判別写真撮影や動画撮影

          『最新型AI』 【ショートショート(1130文字)】