咽頭痛に有効な漢方薬の話:Voicy文字起こし
Voicy 2022年8月3日の文字起こしです。
こんにちは。
このチャンネルでは子どもやアレルギーの健康情報5分でざっくり解説をお届けしていきます。それではさっそく始めて参りましょう。
新型コロナのオミクロン株が流行してくるにしたがって、咽頭痛に関して訴えられる方が多くなってきました。
もちろん咽頭痛に関しては、オミクロン株だけではなくて、ほかの疾患もあるのですが、咽頭痛にはなかなか有効な薬はないんですよね。
一般的には解熱鎮痛薬を内服していただくことが多いということになってくるわけですが、今回はそれ以外の薬剤に関してお話をさせて頂きたいと思っています。
トラネキサム酸(商品名トランサミン)
例えば、以前はトラネキサム酸、商品名トランサミンという薬を使うことも多かったのですが、あまり効果がないということは明らかになっています。
そのため、最近自分自身としては処方することがほとんどなくなりました。
抗菌薬
まず、抗菌薬に関してはどうでしょうか?
例えば、細菌性で咽頭痛をおこしやすい感染症に溶連菌という菌の感染症があります。
その溶連菌を除菌するという面では、ペニシリンという抗菌薬がよく効くということはわかっています。しかし、実際のところ、咽頭痛そのものにはあまり効果がなかったという報告があります。
ステロイド
さらに、特に成人に対して、咽頭痛のある咽頭炎に対してステロイドを内服するという研究はいくつか行われています。
ステロイドを内服する方とプラセボと言ってステロイドが含まれていない、見た目が似たものを内服していただいて、咽頭痛の改善に差があるのかという研究ですね。
全体的な傾向としては、わずかながら咽頭痛が軽くなったっていう方が多いような結果だったのですが、全く効果がなかったという研究もあります。
むしろステロイドの副作用が強く出てしまったという研究結果もありますので、毎回咽頭痛の人にステロイドを使うというのは実際的ではないでしょう。
では、今までよく使われていたトラネキサム酸(トランサミン)、抗菌薬、ステロイドが充分な効果が出ないということは他にいい薬はないのででしょうか。
漢方薬
個人的には漢方薬を使うことが多いのですよね。
そして咽頭痛に一番最初を使うことが多い漢方薬は桔梗湯という漢方薬です。
漢方薬の中では甘味も少しあって、比較的飲みやすい漢方薬です。
お湯などで溶かしてうがいなどをしながら飲み込んでいただくと、より効果が高いと考えられています。
さらに発熱もあるかたには、桔梗石膏という漢方薬の方がより効果が高いと考えられています。
さらに、扁桃腺の炎症が強い場合は、小柴胡湯加桔梗石膏という、それら二つのその漢方薬を混ぜ合わせたような漢方薬がより効果が高いと考えられています。
桔梗湯に関しては、急性上気道感染症(いわゆる風邪)に伴う咽頭痛のある患者70人を桔梗湯を内服するグループとプラセボを内服するグループにランダム化して、桔梗湯の内服10分後の咽頭痛への有効性を検討したという研究があります。
この研究では、その差は十分なものではなかったという結果にはなっていますが、桔梗湯を普通に飲み込んだという飲み方で検討されましたので、うがいなどをして飲み込んでいただくと、普段の診療としてはよく効いている印象があります。
ですので、普段の診療としては桔梗湯、桔梗石膏、小柴胡湯加桔梗石膏のような漢方薬ということになります。
さいごに
咽頭痛は水分なども取りづらくなってきますし、こういった漢方薬などに関しては、例えばドラッグストアなどにも販売されています。
薬剤師さんなどの意見もお聞きながら内服するといいのかもしれませんね。
それでは今回はこれで終了させていただきます。さようなら。
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