
クループ症候群は、冷たい空気を吸うと改善しやすくなるかもしれない|2024年10月10日
■ ブログで公開した内容の深掘りです。
( 本記事は、メンバーシップ(スタンダード・アドバンス)の記事です。メンバーシップの概要は、こちらをご参照くださいm(_ _)m)
クループは幼児に多い呼吸器の病気で、夜間の救急外来受診の原因になりやすい。そして、クループに冷たい空気が有効か、ランダム化比較試験で調査されました。
■ クループとは、赤ちゃんや小さな子ども(6ヶ月から3歳くらい)に見られる、上気道(喉頭や気管)が炎症を起こし腫れることによって引き起こされる病気です。
■ そして、オットセイのような特徴的な咳や、息を吸う時に喘鳴が聞こえるようになります。
■ クループは軽症が多いのですが、今のように様々な風邪が流行すると増え、救急外来に受診される原因のひとつになっています。
■ そもそも、2歳未満の子どもの救急外来受診の3%から5%がクループによるものなのだそうです。
■ クループの主な治療法は、デキサメタゾンというステロイド薬の内服です。そして日本では、アドレナリンの吸入を先に行うこともあります。
■ 一方で、『冷たい空気を吸うと症状が良くなる』という経験談がありました。
Petrocheilou A, Tanou K, Kalampouka E, Malakasioti G, GianniosC, Kaditis AG. Viral croup: diagnosis and a treatment algorithm. Pediatr Pulmonol.2014;49(5):421–429
■ しかし、それが本当に効くのかどうか、科学的な証拠がありませんでした。
■ そこで、軽症もしくは中等症のクループの子どもたちを対象に、30分間冷たい外の空気を吸わせ、その効果を室内の普通の空気を吸った場合と比べてみるという研究が行われました。
この論文でわかったことをざっくりまとめると?
クループがあり、Westleyクループスコア(WCS)が2点以上の3か月から10歳の小児118名を対象に、トリアージ後すぐに30分間屋外の冷気(<10℃)または室内の常温空気のいずれかに曝露するようランダムに割り付け、効果を確認した。
✅️屋外冷気暴露群の59人中29人(49.2%)と室内群の59人中14人(23.7%)が、トリアージから30分後にベースラインからWCSが2点以上低下を示した(リスク差25.4% [95%信頼区間 7.0-43.9], P=0.007)。
【簡単な解説】 クループの子どもたちを2つのグループに分け、1つのグループは冷たい外の空気を30分間吸い、もう1つのグループは普通の室内にいてもらいました。その結果、冷たい空気を吸ったグループの方が、症状が改善した子どもの割合が多かったです。
✅️中等症のクループの患者が30分時点で最も介入の恩恵を受けた(リスク差46.1% [20.6-71.5], P<0.001)。
【簡単な解説】 症状が中くらいの重さの子どもたちで、特に、冷たい空気を吸うことの効果が大きかったことがわかりました。
※Westleyクループスコアは、小児の急性クループの重症度を評価するための指標です。このスコアは、1978年に小児科医のWestleyによって開発されました。
以下は、論文の解説と管理人の感想です。
ここから先は

noteでは、ブログでは書いていない「まとめ記事」が中心でしたが、最近は出典に基づかない気晴らしの文も書き散らかしています(^^; この記事よかった! ちょっとサポートしてやろう! という反応があると小躍りします😊