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環境中のアレルゲン濃度が高くなると、風邪をひきやすくなる?|2024年8月31日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

( 本記事は、メンバーシップ(スタンダード・アドバンス)の記事です。メンバーシップの概要は、こちらをご参照くださいm(_ _)m)


子どもの喘息悪化には人種差や環境要因があり、アレルゲンと上気道感染の関係が調査されました。

■ これから、喘息は悪化しやすい秋に向かいます。
■ 小児の喘息発作の多くは、上気道へのウイルス感染に起因していることから、ウイルスが重要な役割を果たしています。

■ そして米国では、子どもの喘息の悪化に関して、人種や民族による違いがあることがわかっています。特に、黒人やラテン系/ヒスパニック系の子どもたちは、白人の子どもたちよりも喘息が悪化しやすい傾向があります。

■ この違いが生じる理由として、住んでいる場所の環境の違いが考えられています。
■ 例えば、家の質が悪かったり、空気が汚れていたり、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)にさらされやすかったりする環境が、経済的に恵まれない地域に多いのです。

■ また、子どもの喘息の悪化は、多くの場合、上気道の感染(URI: Upper Respiratory Infection)と関係があることがわかっています。
■ そこで、主に黒人の子どもたちを対象に行われたECATCh研究のデータを使って、家の中のアレルゲンとURIの関係を調べられました

■ ECATCh (Environmental Control as Add-on Therapy for Childhood Asthma study )研究は、屋内の汚染物質やアレルゲンを対象とした家庭における介入と、ガイドラインに基づく喘息コントローラー薬の管理を比較したランダム化臨床試験でした。

Grant TL, McCormack MC, Peng RD, Keet CA, Rule AM, Davis MF, et al. Comprehensive home environmental intervention did not reduce allergen concentrations or controller medication requirements among children in Baltimore. J Asthma 2023; 60:625-34.

具体的には、アレルゲンにさらされることが、URIにかかりやすくなるのか、そして喘息の症状を悪化させるのかが検証されました



この論文でわかったことをざっくりまとめると?

持続性喘息を持つ主に黒人の5〜17歳の子ども90人を対象に、6ヶ月間にわたり家庭環境評価とクリニック受診により、アレルゲン濃度、ウイルス感染、呼吸器症状を調査した。

✅️ゴキブリアレルゲン濃度が2倍になると、上気道感染(要は風邪)と風邪症状のリスクが18%増加し、上気道感染と風邪症状に加えて肺機能低下のリスクが45%増加した。
【簡単な解説】家の中にゴキブリのアレルギーの原因となる物質が2倍に増えると、子どもたちが風邪のウイルスに感染して症状が出るリスクが18%高くなり、さらに肺の働きが悪くなるリスクが45%高くなることがわかりました。

✅️これらの関連は、アレルゲンに感作された子どもでより強い傾向があった。
【簡単な解説】もともとゴキブリやネズミのアレルギーの原因となる物質に敏感な反応を示す子どもたちでは、家の中にそれらの物質が増えたときに、より風邪にかかりやすくなったり、肺の状態が悪くなりやすくなったりする傾向が強く見られました。



以下は、論文の解説と管理人の感想です。

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