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デュピルマブによる皮膚バリア機能の改善は、どのような指標に反映されるか?|2025年2月20日
■ ブログで公開した内容の深掘りです。
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アトピー性皮膚炎の症状を改善させるデュピルマブ。皮膚バリア機能をどれくらい改善させる?
■ アトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症を起こす非常に多い皮膚の病気です。
■ この病気は、かゆみや湿疹、乾燥などの症状があり、患者や家族に大きな影響を与えます。
■ 皮膚にはそもそも、外部からの刺激を防ぐバリア機能があり、アトピー性皮膚炎ではこの機能がうまく働かなくなっています。
■ 現在、皮膚バリアの状態は、経皮水分蒸散量(TEWL)などの非侵襲的な方法で簡単に測ることができます。
■ TEWLとは皮膚から逃げていく水分量のことですから、高いほどバリア機能が低いということです。
■ 皮膚バリア機能の指標としては、他には 角層水分量があり、やはりアトピー性皮膚炎の重症度と相関しています。
■ 角層の水分量が低下すると、皮膚の乾燥やかゆみが悪化し、炎症が引き起こされることになります。
Addor FASA, Aoki V. Skin barrier in atopic dermatitis. Anais brasileiros de dermatologia 2010; 85 2:184-94.
■ すなわち、アトピー性皮膚炎が重い人ほど、皮膚からの水分の蒸発量(TEWL)が高く、皮膚の水分量(SCH)が低いということです。
■ デュピルマブは、アトピー性皮膚炎が悪化するときに上がるサイトカイン(IL4-IL-13)をブロックし炎症を抑える効果があり、患者の症状を改善することが示されています。
■ では、デュピルマブがどのように皮膚のバリア機能を改善するのでしょうか?最近のシステマティックレビューを確認してみました。
この論文でわかったことをざっくりまとめると?
中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者173名(12-65歳)を対象に、デュピルマブによる治療介入を行い、前向き観察研究として皮膚バリア機能への影響を評価した。
✅️ デュピルマブは、湿疹病変部および非病変部において経皮水分蒸散量(TEWL)の低下、皮膚温の低下、角層水分量(SCH)の増加をもたらし、治療開始後8週から32週にわたって皮膚バリア機能の改善を示した。
【簡単な解説】 この薬を使うことで、皮膚から蒸発する水分量が減り、肌の温度も下がり、さらに皮膚の水分量が増えました。これは、肌のバリア機能(肌を守る力)が良くなったことを示しています。
✅️ EASI-75を達成した患者では、16週目でTEWLの中央値低下が30%対11%(p = 0.029)、32週目では43%対5%(p = 0.0088)と有意に大きな改善を示した。
【簡単な解説】 特に症状が75%以上改善した患者さんでは、皮膚の表面から蒸発する水分が大きく減少しました。
以下は、論文の解説と管理人の感想です。
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