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侵襲性(劇症型)感染症は、溶連菌に対する事前治療で予防可能か?|2024年7月29日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

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A群連鎖球菌(溶連菌)による重篤な感染症(侵襲性感染症)の増加を受け、早期の抗生物質治療の有効性が検討されました。

■ A群連鎖球菌(GAS)は、さまざまな病気を引き起こす細菌です。
■ 例えば扁桃咽頭炎、猩紅熱、膿痂疹(とびひ)が一般的でしょう。

■ しかしまれに、敗血症、髄膜炎、壊死性筋膜炎などの命に関わる状態に至るという侵襲性の感染を引き起こすことがあります。
■ そして侵襲性A群レンサ球菌感染症(iGAS)といい、特に重症になった場合は劇症型A群レンサ球菌感染症といいます。
これら抗菌薬治療や時に外科的処置が早期に必要となります。

Steer AC, Danchin MH, Carapetis JR. Group A streptococcal infections inchildren.J Paediatr Child Health. 2007;43:203–213

■ 2022年から2023年から欧州の小児を中心に、侵襲性A群レンサ球菌(iGAS)感染症の増加が観察されました。

■ 具体的には、ドイツとスイス、オランダ、イギリスなどです。

Pellegrino R, Timitilli E, Verga MC, et al; Other members of the ItalianPanel for the Management of Acute Pharyngitis in Children. Acute pharyn-gitis in children and adults: descriptive comparison of current recommenda-tions from national and international guidelines and future perspectives.EurJ Pediatr. 2023;182:5259–5273.6.
Hofmann Y, Berger H, Wingeier B, et al. Behandlung der streptokokken-angina.Swiss Med Forum. 2019;19:481–488


■ そして、A群レンサ球菌感染症の疑いのある場合は抗生物質で治療するよう推奨されましたが、ドイツとスイスのガイドラインは変更されませんでした。

■ 要は、A群レンサ球菌感染症が疑われた場合に、侵襲性になる前の治療が有効であったかを検討したことになります。

※この論文は、こちらのニュースレター(登録無料です)でも引用いたしました。


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