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重症牛乳アレルギー治療、多い量を目標にする?少量を目標にする?|2025年2月11日
■ ブログで公開した内容の深掘りです。
( 本記事は、メンバーシップ(アドバンス)の記事です。メンバーシップの概要は、こちらをご参照くださいm(_ _)m)
牛乳アレルギーの免疫療法、少ない量を目標にするか?多い量を目標にするか?
■ 牛乳アレルギーは、日本でも3位にあたる食物アレルギーの原因で、特に乳幼児期に発症します。
■ 小学校までに牛乳アレルギーを克服することが多いのですが、牛乳でアナフィラキシーを起こしたことがある児、もしくは特異的IgE抗体価が高く、下がる傾向に乏しい児はアレルギーが長く続きやすいことがわかっています。
■ アナフィラキシーとは、命に関わることもある強いアレルギー反応です。
■ 牛乳に対するアナフィラキシーは世界的に問題になっています。
■ 牛乳アレルギーを含む食物アレルギーの治療に、経口免疫療法(OIT)が使われることがあります。
■ しかし、OITでは長期にわたる副作用(有害事象)が多く、アナフィラキシーがおこったり、アドレナリン自己注射薬(エピペン)を使用することもしばしばとされます。
■ さらに、OITを長く続けられずに途中でやめる人も多く、長期的に牛乳を普通に飲める状態になるのは少数というデータもあります。
■ また、OITでどのくらいの牛乳を飲み続けるか(維持量)については、はっきりとした結論が出ていません。
■ ピーナッツアレルギーでは「少ない量を飲み続ける方が副作用が少ない」と言われています。
■ 牛乳アレルギーでも20 mLを目標にすると比較的安全性が高いとの報告がありますが、データの期間が短い上に、牛乳でアナフィラキシーを起こした患者に関する情報がはっきり示されていません。
Vickery BP, Berglund JP, Burk CM, et al. Early oral immunotherapy
in peanut-allergic preschool children is safe and highly effective. J
Allergy Clin Immunol. 2017;201(139):173-181.e8.
■ そこで、維持量が多い「高用量経口免疫療法(HOIT: High-dose Oral Immunotherapy)」と、少ない「低用量経口免疫療法(LOIT: Low-dose Oral Immunotherapy)」のどちらが安全で続けやすいかを3年間かけて比較した研究が行われました。
この論文でわかったことをざっくりまとめると?
アナフィラキシーの既往がある6~18歳の牛乳アレルギー患者177名を対象とし、維持量200mLの高用量経口免疫療法(HOIT群、n=78)と維持量3mLの低用量経口免疫療法(LOIT群、n=99)を3年間実施し比較検討を行った。
✅️症状を誘発した回の割合は、1年目・2年目・3年目においてHOIT群では20.88%、13.73%、7.31%、LOIT群では11.81%、8.15%、6.30%だった。
【簡単な解説】 たくさんの量を目指すグループ(HOIT)のほうが、症状が出る回数が多かったが、どちらのグループも年々症状が出にくくなっていった。
✅️3年後、HOIT群では29%の患者が200mLの牛乳で食物負荷試験をパスし、LOIT群ではそれぞれ47%、18%、5%の患者が25mL以上、50mL以上、100mLの牛乳で食物負荷試験をパスした。
【簡単な解説】 たくさんの量を目指すグループ(HOIT)では、3年後に約3割の子どもがコップ1杯分の牛乳を飲めるようになった一方、少ない量を目指すグループ(LOIT)では、半数近くの子どもが25mLは飲めるようになった。
※この論文はオープンアクセスではないので、Figure、Tableは引用しておりません。
※経口免疫療法は、自己判断で行うことはリスクがあります。必ず、経験豊富なアレルギー専門医にご相談ください。
以下は、論文の解説と管理人の感想です。
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