ネモリズマブ(ミチーガ)は、かゆみを伴うアトピー性皮膚炎の睡眠障害や生活の質を改善する|2024年12月24日
■ ブログで公開した内容の深掘りです。
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アトピー性皮膚炎の患者さんの睡眠障害に対して、ネモリズマブはどれくらい有効か?
■ 先週から今週まで、ニュースレターの更新に力を割いていたら、ブログに手が回らなくなってしまって、しばらく更新に間が空いてしまいました。
■ 論文も複数、並行して書いているのと、年末でさらに忙しくなってきていることも拍車をかけてしまいました。
■ とはいえ、読みたい論文もたくさん溜まってしまったので、年末までは更新を密にして行きたいと思っていますので、よろしくお願いいたします!
■ さて、アトピー性皮膚炎は、皮膚が炎症を起こし、多くの人の生活の質を下げてしまいます。
■ この病気が原因で寝不足になる人が子どもで80%、大人で90%もいると報告されています。
Bawany F, Northcott CA, Beck LA, Pigeon WR. Sleep Disturbances and Atopic Dermatitis: Relationships, Methods for Assessment, and Therapies. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2021; 9:1488-500.
■ 夜にかゆくて眠れないと、日中の活動や学校・仕事に集中できなくなるため、生活の質(QOL)が悪くなるのです。
■ このようなかゆみを引き起こす原因の一つが、体内の免疫細胞から出る「IL-31」という物質です。
■ そこで、IL-31をブロックする「ネモリズマブ」という薬が開発され、実際に患者さんに使ったところ、かゆみや皮膚の状態(EASI)の改善効果が高くなることがわかっています(かゆみの指標VASがネモリズマブ群で−42.8%、プラセボ群で−21.4%など)。
■ しかも、長期間使い続けても、この効果は持続します。
■ ただし、かゆみや皮膚症状がどれくらい良くなると、どの程度QOLが良くなるのかといった詳しいところは、十分わかっていません。
■ さて、そのような背景の中、日本で行われた臨床試験のデータを基に、ネモリズマブがかゆみや皮膚症状をどう改善し、さらにQOLにどう影響するかを調べた研究が報告されていました。
この論文でわかったことをざっくりまとめると?
13歳以上の日本人アトピー性皮膚炎患者215名(ネモリズマブ群143名、プラセボ群72名)に対し、60mgネモリズマブまたはプラセボを4週間ごとに皮下投与し16週間観察した。
✅ネモリズマブ群では、16週目のかゆみ(VAS)が45.6%、湿疹の重症度(EASI)が46.0%改善したのに対し、プラセボ群ではそれぞれ24.1%、33.2%の改善に留まった。
【簡単な解説】新薬を使ったグループでは、かゆみと湿疹が半分近く良くなりましたが、偽薬のグループでは改善が3分の1程度でした。
✅16週目において、ネモリズマブ群では41.6%の患者で寝つきの問題が解消し、45.4%で睡眠維持の問題が改善したのに対し、プラセボ群ではそれぞれ13.1%、10.9%に留まった。
【簡単な解説】新薬を使ったグループでは、半分近くの患者さんで寝つきや睡眠の問題が良くなりましたが、偽薬のグループではわずか10人に1人程度しか改善しませんでした。
以下は、論文の解説と管理人の感想です。
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