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デュピルマブ治療は、ステロイド外用薬も併用したほうが痒みを改善し、維持しやすいかもしれない|2025年2月24日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

( 本記事は、メンバーシップ(アドバンス)の記事です。メンバーシップの概要は、こちらをご参照くださいm(_ _)m)


デュピルマブによるアトピー性皮膚炎患者の「かゆみ」改善、維持されるか?

■ アトピー性皮膚炎は、少なくない皮膚の炎症性疾患です。
■ 最近では先進的な全身療法が増えました。特に、生物学的製剤と内服JAK阻害薬が双璧でしょう。
■ そのようななか、「treat-to-target(T2T)」の概念が導入されてきています。

■ Treat-to-target治療は、治療の目的やゴール(たとえば、寛解状態や病態の活性が低い状態)の目標を明確に定め、その達成を目指して治療戦略を調整・変更するアプローチです。
■ このT2T概念では、初期の3か月間の相対的目標と、6か月間の絶対的な最適目標が設定されています。
■ 患者が特に重視する症状は「かゆみ」であり、アトピー性皮膚炎は、過剰なかゆみは睡眠障害を引き起こします。

■ かゆみは生活の質を低下させるだけでなく、かゆみ-ひっかきサイクルにより皮膚バリアがさらに損なわれ、病態が進行します。
■ 最適な6か月治療目標として、患者自身が評価する最大のかゆみ数値評価尺度(PP-NRS)のスコアが4点以下であることが求められます。

■ デュピルマブは、外用治療で十分な効果が得られなかった中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者に対する初の全身療法として、かゆみの改善効果が複数の臨床試験で示されています。

■ そこで、デュピルマブ治療を受けたアトピー性皮膚炎患者において、かゆみ反応の改善(PP-NRS 4点以下)が現れ、その長期の維持を評価するため、52週間のCHRONOS試験および36週間のSOLO‑CONTINUE試験の事後解析が実施されました。

■ さらにいえば、この2つの試験の大きな違いとして、「ステロイド外用薬を併用しているか否か」が大きなポイントです。
■ ですので、あくまで事後解析ながら、外用の重要性を見た研究でもあります。



この論文でわかったことをざっくりまとめると?

18歳以上の中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者を対象に、CHRONOS試験(デュピルマブ300mg隔週投与+ステロイド外用薬(TCS)群とプラセボ+TCS群、52週間)とSOLO-CONTINUE試験(デュピルマブ単独療法の投与間隔を変えた4群とプラセボ群、36週間)の2つの第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。

✅️ デュピルマブ+ステロイド外用薬(TCS)群では、最適な掻痒反応(PP-NRS≦4)の達成までの期間中央値が29.0日であり、プラセボ+TCS群の64.0日と比較して有意に早期であった(P<0.0001)。
【簡単な解説】 デュピルマブを使った患者さんは、使わなかった患者さんと比べて、かゆみスコアが低くなるまでの時間が約1ヶ月と早く、この差は統計的にも意味のある結果でした。

✅️ SOLO-CONTINUE試験における36週時点での最適な掻痒反応の維持率は、デュピルマブ週1回投与群で75.8%、2週間ごと投与群で77.6%と高値を示し、投与間隔が長くなるにつれて低下し(4週間ごと60.4%、8週間ごと47.3%)、プラセボ群では30.4%と最も低値であった。
【簡単な解説】 デュピルマブを定期的に続けて使用した患者さんは、約8ヶ月後でもかゆみが良好な状態を保てていました。特に1-2週間ごとに投与を受けた人の7割以上で効果が続いていましたが、投与の間隔が空くほど効果は減っていきました。



以下は、論文の解説と管理人の感想です。

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