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エモリエント『プラス』は、ステロイド外用薬の使用量を減らす|2024年9月2日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

( 本記事は、メンバーシップ(アドバンス)の記事です。メンバーシップの概要は、こちらをご参照くださいm(_ _)m)


アトピー性皮膚炎治療に保湿剤に、あたらしくエモリエントプラスの概念が提案されている。

■ アトピー性皮膚炎(AD)は、かゆみを伴い、長く続く長期的な皮膚の炎症疾患です。
■ アトピー性皮膚炎の基本的な治療方法は、アレルギーの原因となるものを避けることと、毎日保湿剤を使うことです。

Wollenberg A, Barbarot S, Bieber T, Christen-Zaech S, DeleuranM, Fink-Wagner A, et al. Consensus-based European guidelines fortreatment of atopic eczema (atopic dermatitis) in adults and children:part I. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2018;32(5):657–82.

■ しかし、保湿剤だけでは症状を抑えられないことも少なからずあります。

■ そのようなときによく使用されるのがステロイド外用薬です。
■ ステロイド外用薬は、かゆみや炎症を抑える効果がありますが、長期間使うと肌が薄くなったり、血管が目立つようになったりする(血管拡張)副作用があります。

■ 最近、普通の保湿剤よりも効果が高い「エモリエントプラス」という新しいタイプの保湿剤が注目されています。
■ エモリエントプラスは、軽いアトピー性皮膚炎の人が使うと、短期間でも長期間でも効果があるようです。

Cestari SCP, Correia P, Kerob D. Emollients “Plus” are Beneficial in Both the Short and Long Term in Mild Atopic Dermatitis. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology 2023; 16:2093 - 102.

■ そして最近、ステロイド薬を減らせる可能性もあるという報告がなされていました。



この論文でわかったことをざっくりまとめると?

軽度から中等度のアトピー性皮膚炎(AD)患者119名(平均年齢26.50 ± 17.5歳)を対象に、28日間エモリエント「プラス」を1日2回塗布する群と通常のエモリエントを継続する対照群に1:1でランダム化した。

✅ベースラインと28日目で、使用されたステロイドの平均量はエモリエント「プラス」群の方が対照群よりも少なかった(6.03 vs 9.16 g; p = 0.041)。
【簡単な解説】エモリエント「プラス」を使った人たちが、普通の保湿剤を使った人たちよりも炎症を抑える薬(ステロイド)の使用量が少なくて済みました。具体的には、エモリエント「プラス」群が6.03g、対照群が9.16gのステロイドを使いました。

✅SCORAD、PO-SCORAD、Local-SCORAD、皮膚感覚スコア、AD負担尺度、患者利益指数>1、被験者と研究者の有効性と忍容性に関する質問票評価において、両群で同様の改善が観察された。
【簡単な解説】症状の改善度合いや患者さんの生活の質、薬の副作用などを評価する様々な指標において、エモリエント「プラス」群と対照群で同じくらいの改善が見られました。つまり、ステロイドの使用量は減らせたのに、効果は同じくらいあったということです。



以下は、論文の解説と管理人の感想です。

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