脂漏性湿疹へは、抗真菌薬よりもタクロリムス軟膏のほうが有効?|2024年6月15日
■ ブログで公開した内容の深掘りです。
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脂漏性皮膚炎は皮膚に炎症を起こす病気で、主にマラセチア・グロボーサという真菌が原因です。この真菌は皮脂を分解し、炎症を引き起こします。
■ 脂漏性皮膚炎(Seborrheic Dermatitis: SD)は、2.5%から3%の有病率を持つ皮膚に炎症をおこす疾患です。
■ この疾患は、マラセチアという真菌が関係し、インターロイキン-2などの炎症性サイトカインの増加を特徴とします。
■ マラセチアは、そもそも人間の皮膚に常在、すなわち普通にいる真菌で、実は種類がたくさんありま。
■ 脂漏性湿疹の原因となる主なマラセチアは、「マラセチア・グロボーサ」と呼ばれる種類になります。この真菌は、皮脂、すなわち皮膚から分泌される油を栄養にして生きています。
■ そしてマラセチア・グロボーサは、皮脂を分解する時に、オレイン酸という物質を作り出します。オレイン酸は、炎症反応を引き起こす物質であり、これが脂漏性湿疹の発症の一因と考えられています。
Tajima M, Sugita T, Nishikawa A, Tsuboi R. Molecular analysis of Malassezia microflora in seborrheic dermatitis patients: comparison with other diseases and healthy subjects. Journal of investigative dermatology 2008; 128:345-51.
■ 余談ですが、以前はマラセチア・フルフルという菌株が脂漏性湿疹の原因と考えられていました。
■ そのため、『コラージュフルフル』という商品名の真菌を抑える成分のはいった製品が市販されています。まあ、いまさら『コラージュグロボーザ』には変えられませんよね(汗)。
■ 患者さんに、『フルフルって可愛らしい名前だけど、実はカビの名前なんですよね』というと驚かれる場合もあります。
■ ちょっと脱線しましたが、要は、脂漏性湿疹はマラセチアという真菌と関係が深く、真菌に対する外用薬が脂漏性湿疹に有効であるということです。
■ しかし一方で、アトピー性皮膚炎の治療に使用される免疫抑制外用薬であるタクロリムス軟膏も、脂漏性湿疹に有効であることが知られています。免疫抑制薬がマラセチアに有効であるということです。
■ そこで、個人的には、マラセチアの多いと言われている箇所、すなわち顔や首、上半身に対するタクロリムス軟膏の有効性は高いと考えています。
■ では、抗真菌薬とタクロリムスのどちらが、より脂漏性湿疹に有効なのでしょうか?
■ タクロリムス0.1%軟膏と抗真菌外用薬シクロピロクスオラミン1%クリームの有効性を比較したランダム化比較試験が、米国皮膚科学会雑誌に公開されています。
※全文を読みましたが、この論文はオープンアクセスではないので深堀りして解説はしておりますが、図などは提示しておりません。
※タクロリムス軟膏は、脂漏性湿疹に保険適用はありません。
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